
第1章 小学生の不登校が増えている現状
文部科学省の調査によると、小学生の不登校児童数は年々増加しています。2024年度に年間30日以上登校せず、不登校とされた小中学生は35万3970人。低学年での増加が目立ち、「学校が苦手」「朝になるとお腹が痛い」といった身体症状で登校できない子どもも少なくありません。
参考:令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)
背景には、学力競争の早期化や人間関係の複雑化、そしてコロナ禍による環境の変化があります。家庭での過ごし方が多様化し、子どもが「学校に行く意味」を見失いやすい社会構造も影響しています。
大切なのは、「不登校=悪いこと」ではないということ。不登校は、子どもが自分を守るために発するSOSのサインでもあります。焦らず、まずは現状を受け止めることが第一歩です。
第2章 小学生が不登校になる主な原因
不登校の原因はひとつではなく、複数の要因が重なり合っています。
いじめや友人関係のストレス
いじめだけでなく、友達グループから外される、仲間関係に気を使いすぎるなど、学校内の人間関係は子どもにとって大きなストレスになります。大人には見えにくい小さなきっかけから不登校につながるケースもあります。
教師との関係や授業への苦手意識
授業についていけない、先生が怖いなどの理由で学校に行きたくないと感じる子もいます。叱責やプレッシャーが続くと、子どもは「自分はダメなんだ」と思い込み、登校意欲を失ってしまいます。
家庭環境や親子関係の影響
家庭内での不安や緊張が続くと、子どもは安心できる居場所を失い、外の世界に出ることを怖がるようになります。親の言葉や態度が子どもの自己肯定感に影響するため、日々の関わり方がとても大切です。
発達特性(ADHD・ASD・HSPなど)
発達特性のある子どもは、集団行動や音・光・他人との距離などに敏感な傾向があります。環境の刺激が強い学校生活では疲れやすく、結果として登校が難しくなることがあります。
生活リズムやゲーム・ネット依存
夜更かしやオンラインゲームの長時間利用によって生活リズムが乱れ、朝起きられなくなるケースもあります。リズムが崩れると体調も悪化し、不登校のきっかけになることがあります。
第3章 不登校のサインを見逃さないために
子どもは、言葉で「学校に行きたくない」と言えないことがあります。そのため、行動や表情からサインを読み取ることが大切です。
- 朝になると腹痛や頭痛を訴える
- 夜眠れない、食欲が落ちる
- 学校や友達の話を避ける
- イライラしたり涙もろくなる
これらの変化が見られたら、「どうしたの?」と優しく声をかけましょう。叱るのではなく、「あなたの気持ちを聞かせてほしい」という姿勢が大切です。
第4章 親がしてはいけない対応・してほしい対応
してはいけない対応
- 「怠けている」「わがまま」と決めつける
- 無理に登校を促す
- 他の子と比較して叱る
してほしい対応
不登校のときに最も大切なのは「安心できる居場所」をつくることです。家が安全基地であると感じられれば、子どもは徐々にエネルギーを取り戻します。また、親自身のストレスケアも欠かせません。焦らず、家庭全体で支え合う工夫をしましょう。
第5章 学校との関わり方・担任への伝え方
不登校が始まったら、早めに担任やスクールカウンセラーに相談することが大切です。親が一人で抱え込まず、学校と協力しながら対応していきましょう。
話すときは、「何が悪いのか」を追及するよりも、「子どもがどう感じているか」を中心に伝えるのがポイントです。学校内には特別支援コーディネーターや教育相談員などの専門職もいます。
登校だけがゴールではありません。家庭訪問や別室登校、分割登校など、柔軟な方法で学校とつながることも可能です。
第6章 利用できる支援機関と学びの選択肢
不登校になっても、学びを続ける道はたくさんあります。
- 教育支援センター(適応指導教室):公的機関で、専門のスタッフが学習や心のサポートを行います。
- フリースクール:個々のペースに合わせて学べる民間施設です。
- オンライン学習支援:自宅からアクセスでき、無理なく学習を再開できます。
生活学業改善のスペシャリスト

らいさぽセンター本校の「生活学業改善プラン」は、引きこもりや不登校、ニートの方が生活リズムを整え、学び直しや社会参加を目指すサポートプランです。全寮制で24時間スタッフ常駐、栄養バランスに配慮した食事、快適な居住環境を提供し、生活改善から次のステップへの自立を支援します。
第7章 家庭でできるサポートの実践方法
小さな成功体験を積み重ねる
朝ごはんを自分で作る、散歩に出かけるなど、「できた!」を少しずつ増やすことが自信につながります。
生活リズムを整える
登校を強要せず、まずは「朝起きて朝食をとる」ことからスタート。日中の活動量を増やすことで自然と睡眠も整っていきます。
興味・関心を大切にする
子どもが夢中になれることを尊重しましょう。ゲームや絵、動物など、興味の中に社会との接点が見えてくることもあります。
第8章 不登校を乗り越えるための回復ステップ
不登校の回復は「休む → 安心する → 興味を持つ → 行動する」という段階を経て進みます。最初の「休む」段階では、無理に外へ出す必要はありません。安心できる環境で心のエネルギーを回復させることが大切です。次第に好きなことに興味を示すようになったら、社会との関わりを少しずつ増やしていきましょう。
第9章 親が孤立しないために|支え合える環境づくり
不登校の子どもを支える親自身も孤立しがちです。「自分のせいでは?」と責めてしまう方も多いですが、それは誰にでも起こりうることです。地域には、同じ経験を持つ親同士の交流会やオンラインサポートがあります。親が元気でいることが、子どもにとっても安心につながります。
第10章 まとめ|焦らず、子どものペースで歩んでいこう
不登校は失敗ではなく、子どもが自分を守るために選んだひとつの形です。大切なのは「どうすれば再び笑顔で過ごせるか」を一緒に考えることです。焦らず、比べず、子どものペースで歩んでいきましょう。



