
第1章 女子高校生の不登校が増えている背景
女子高校生の不登校は、近年ますます見えにくい形で増えています。文部科学省の統計では、不登校の人数自体は中学生が最も多いものの、高校生、とくに女子の不登校は「表に出にくい」という特徴があります。
なぜなら、女子高校生の不登校は、問題行動や反抗として現れるよりも、
「体調不良」「無気力」「朝起きられない」
「なんとなく学校がつらい」といった形で始まることが多いからです。
そのため親も、
「思春期だから仕方ないのかもしれない」
「そのうち行けるようになるのでは」
と判断を先延ばしにしがちです。しかし、その“様子見”が長期化を招くケースも少なくありません。
女子高校生は、
周囲との関係性や空気を非常に敏感に感じ取ります。SNSや人間関係、将来への不安など、目に見えないストレスが積み重なり、ある日突然、心と体が動かなくなる。それが不登校の始まりになることも多いのです。
第2章 女子高校生特有の不登校の主な原因
女子高校生の不登校には、いくつかの共通した要因があります。ここでは「よくある原因」を整理しながら、親が気づきにくいポイントも含めて解説します。
人間関係のストレス
女子の場合、表面的には穏やかに見えても、友人関係の中で強いストレスを抱えていることがあります。仲間外れ、グループ内の力関係、無言の圧力など、目に見えない形のいじめや孤立が起きやすいのが特徴です。
自己否定感の強まり
「自分はダメだ」「周りより劣っている」
こうした思いが強くなると、
学校という評価の場に身を置くこと自体が苦痛になります。
成績、容姿、性格、将来像など、比較対象が多いほど自己否定は深まります。
SNSによる疲弊
常に誰かとつながっている状態は、安心感と同時に強い緊張を生みます。既読・未読、投稿への反応、裏アカでの噂など、学校外でも心が休まらない状況が続くことで、学校に行くエネルギーを失ってしまうことがあります。
進路・将来への不安
高校生になると、
「このままでいいのか」
「将来何をしたいのかわからない」
という不安が現実的になります。真面目で責任感が強い子ほど、答えの出ない問いに追い詰められやすい傾向があります。
第3章 親が最初に理解しておくべき大切な視点

不登校に直面したとき、多くの親が「どうすれば学校に戻れるか」を考えます。しかし、最初に大切なのは、「なぜ行けないのか」を無理に解明しようとしないことです。
本人ですら理由をうまく言葉にできないことが多く、原因探しはかえってプレッシャーになる場合があります。不登校は「怠け」でも「甘え」でもなく、心と体のブレーキがかかっている状態だと理解することが出発点です。
また、
「正しい対応をしなければ取り返しがつかない」と親自身が追い込まれすぎる必要もありません。
子どもは親の不安を敏感に察知します。親が落ち着くこと自体が、子どもの回復にとって大きな意味を持ちます。
第4章 不登校初期に親ができる具体的な関わり方
不登校が始まったばかりの時期は、「今後を左右する大事な時期」と言われがちですが、実際に大切なのは“無理をさせないこと”です。
学校の話題を無理に出さない
親としては状況を把握したくなりますが、毎日のように学校の話を振られると、子どもは責められていると感じやすくなります。安心できる家庭環境を優先しましょう。
生活リズムはゆるやかに
朝起きられない、昼夜逆転している。そうした状態も「回復の途中」と捉え、まずは安心して眠れる環境を整えることが重要です。
感情を否定しない
「そんなことで?」
「みんな我慢している」
こうした言葉は、本人の苦しさを否定することにつながります。理解できなくても、「つらかったんだね」と受け止める姿勢が支えになります。
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第5章 不登校が長期化した場合の考え方と対応
数か月、あるいはそれ以上学校に行けない状態が続くと、親の焦りは一層強くなります。しかし、長期化=失敗ではありません。
むしろ、
無理に戻そうとして傷を深めるよりも、立ち止まる時間が必要な場合もあります。この時期は「回復を急がない勇気」が求められます。
外出ができない、人と会えない状態が続いていても、家の中で安心して過ごせているなら、それは回復の土台が整っている状態とも言えます。
第6章 回復の段階別に見る支援のポイント
不登校の回復は一直線ではありません。多くの場合、以下のような段階を行き来します。
① 休息期
何もしたくない、考えたくない時期。この段階では「何もしない支援」が最も効果的です。
② 回復準備期
少しずつ興味や会話が戻る時期。外出や趣味をきっかけに、世界が広がり始めます。
③ 社会との再接続期
学校復帰に限らず、フリースクール、通信制高校、アルバイトなど、多様な選択肢があります。
第7章 学校・専門機関との上手なつながり方
親だけで抱え込む必要はありません。担任、スクールカウンセラー、外部支援機関など、「相談すること」は弱さではなく、支援の第一歩です。
大切なのは、学校復帰をゴールに固定しすぎないこと。子どもの状態を共有しながら、柔軟な選択肢を一緒に考える姿勢が重要です。
第8章 進学・将来への不安と現実的な選択肢
不登校になると、「このまま将来はどうなるのか」という不安が親を襲います。しかし、高校卒業の形は一つではありません。
通信制高校、定時制、高卒認定試験など、本人のペースに合った道は複数あります。「今できないこと」より、「これからできること」に目を向けましょう。
第9章 親自身の心が折れそうなときに大切なこと
不登校の子どもを支える親も、知らず知らずのうちに疲弊します。誰にも弱音を吐けず、「自分の育て方が悪かったのでは」と自責の念に駆られることもあるでしょう。
しかし、親が倒れてしまっては支援は続きません。親自身も相談していい、休んでいい存在だということを忘れないでください。
第10章 「見守る」とは何かを改めて考える
見守るとは、放置することではありません。急かさず、押し付けず、必要なときには手を差し伸べられる距離でいることです。
女子高校生の不登校は、時間をかけて回復していくケースが多くあります。今は止まっているように見えても、内側では確実に成長が進んでいます。
「この子の人生は、この子のペースで進んでいく」その視点を持つことが、親にできる最大の支援なのかもしれません。







