
はじめに|なぜ“父親の関わり”が不登校改善に大きく影響するのか
不登校は、子ども本人だけの問題ではありません。家庭全体の関係性・空気感・役割バランスが大きく影響します。その中でも「父親の関わり」は、改善のスピードと家庭の安定に大きな役割を果たします。
多くの不登校家庭では、
- 子どもと母親が“密着状態”になり、母が疲弊する
- 父親は「どう接して良いかわからない」と距離を取る
- 子どもは父親を「怖い・言いにくい」と感じやすい
という“負のループ”が起きています。
父親が適切に関わるだけで、
- 家庭の空気が柔らかくなる
- 子どもが安心して話しやすくなる
- 母親の負担が減り、家庭が安定する
- 子どもの回復スピードが上がる
という効果が現れます。この記事では 父親が今日からできる実践的サポート を、心理学と支援現場の知見にもとづいて詳しく解説します。
父親がまず理解しておくべき“不登校の基本”
不登校は「怠け」ではなく“心のSOS”
不登校の原因は非常に複雑で、多くの専門家が「怠けではなく適応の限界」と説明しています。本人は“楽をしている”のではなく、学校が怖い、人間関係の不安、自分を責め続けている、エネルギーが枯れているといった状態にあります。
父親が最初に理解すべきは「行けない」と「行かない」は違うということです。多くの子どもは「行きたいけど行けない」という矛盾で苦しんでいます。
不登校の主な原因と家庭で見えるサイン
原因は1つではなく、以下が複合的に絡み合います。
- 学校での人間関係
- 勉強の遅れ
- 先生との相性
- HSP気質や繊細さ
- 発達特性によるストレス
- 体調不良(頭痛・腹痛・だるさ)
- 自己肯定感の低下
- 頑張りすぎ・完璧主義
家庭で現れやすいサインは、朝だけ体調不良、表情が暗い、趣味にも興味がなくなる、イライラや暴言、部屋にこもる、昼夜逆転などがあります。
父親が誤解しやすいポイント
父親がやりがちな誤解は次の3つです。
- 「甘えさせすぎだから行かない」→ 甘えではなく“限界のサイン”であることが多い。
- 「原因を突き止めようとする」→ 本人も原因がわからないケースが非常に多い。
- 「解決策をすぐ提示しようとする」→ 父親が正論で話すほど、子どもは追い詰められる。
子どもにとって必要なのは「解決」よりも「安心」です。
父親がやってはいけないNG行動
NG①「学校へ行け」と言う
これは効果がないどころか、逆効果になる典型例です。追い詰められた子どもは余計に動けなくなります。
NG② 急に説教・アドバイスをする
父親は「正しさ」で問題を解決しようとしがちですが、不登校の改善には逆効果。子どもは「責められた」「否定された」と受け取りやすく、関係が悪化します。
NG③ 気持ちを否定する・比較する言葉
「甘えてるだけだ」「俺の時はもっと大変だった」「〇〇は頑張ってるぞ」などは子どもを深く傷つけます。
NG④ すべて母親に任せてしまう
不登校家庭では母親が過剰に責任を抱えがちです。父親が距離を取るほど、母親は疲れて追い詰められます。
NG⑤ 無関心な態度
子どもが話しかけても適当に返す、話を聞かない、表情が冷たいといった態度は“拒否されている”という感覚につながります。父親の無関心は子どもに強い影響を与えます。
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父親ができる“今日からの具体的サポート”
① 毎日1分でできる「安心感を伝える声かけ」
ポイントは「短く・優しく・評価しない」こと。
例:
- 「おはよう。昨日より少し元気そうだね」
- 「いつも話してくれてありがとう」
- 「何かあったらいつでも言ってね」
会話がなくても「笑顔で名前を呼ぶ」「うなずく」だけで十分です。
② 子どもが話したくなる距離感の作り方
父親は“距離が近すぎても遠すぎてもダメ”という難しさがあります。
おすすめは、何かしている時にそっと近くにいる、自分の話を少しだけする、子どもが話し出すのを待つ、など。子どもは “安全な雰囲気” が整うと自然と話し始めます。
③ 日常生活のサポート(干渉しすぎず見守る)
朝起こさない、生活リズムを強制しない、食事を部屋に運ぶ必要がある時は淡々と、「今日はどんな日だった?」など詮索しない。コントロールされるのが一番のストレスです。
④ 興味・関心を一緒に楽しむ
父親は「共通の趣味」があると一気に距離が縮まります。ゲーム、アニメ、スポーツ、音楽、YouTubeなど。たとえ父親の興味がなくても、“子どもの好きなものに肯定的に寄り添う姿勢” が大切です。
コミュニケーション改善のためのステップ
ステップ1:会話ゼロでも「環境を整える」
話さない=関係が悪い、ではありません。まずは怒らない、責めない、詮索しないという“安全な空気”を作るのが最優先です。
ステップ2:父親の表情が家庭の空気を決める
父親の少しの不機嫌は、家族全体の空気を悪くします。子どもは敏感に感じ取ります。無駄に怒らない、深いため息を出さない、気持ちの切り替えを意識する。父親の笑顔は家族の安心に直結します。
ステップ3:拒否された時の対処
子どもが拒否しても、反応しないことが大事です。「今は話したくないんだな」「落ち着いたら話そう」と“逃げ道を用意する言葉”が有効。
ステップ4:壊れない話し方
伝え方の例:
- 「どうした?」より「どう感じた?」
- 「なんで?」より「もしよかったら教えて」
- 「大丈夫?」より「そばにいるよ」
言い換えだけで、子どもの反応は大きく変わります。
家庭全体を整えるために父親がすべきこと
母親の負担を減らす「父の役割」
不登校家庭では、母親が子どものケアを一手に背負い疲弊します。父親ができること:
- 母親の気持ちを聞く
- 家事を分担する
- 家庭の決定に責任を持つ
- 「一緒に乗り越えよう」と言葉にする
母親の心が安定すると、家庭全体が落ち着きます。
家族で「責めない空気」をつくる
誰かを悪者にしない、母親と父親が子どもの前でケンカしない、子どもの前で学校や先生を悪く言いすぎない。家庭を“安全基地”にするのが父親の大きな役割です。
兄弟姉妹のフォローも父親の重要な役割
不登校の子に家庭の注目が集まり、兄弟が我慢することがあります。父親は一対一で話す時間をつくる、気持ちを聞く、頑張りを認めることで家庭内のバランスを整えられます。
父親が知っておきたい“支援サービス”の活かし方
父親が主導して相談につなげるメリット
父親が相談窓口につながると、母親の負担が減る、子どもが「家族全員で取り組んでいる」と感じる、家庭内の温度差がなくなるという大きな効果があります。
利用できる支援サービスの種類
代表的なサービス:
- 訪問支援(家庭に来てサポート)
- フリースクール
- オンライン支援
- カウンセリング
- 行政相談窓口
- 若者サポートステーション(就労支援)
それぞれ役割が違うため、複数を組み合わせる家庭も多いです。
外部支援を使うメリット
家庭ではできない専門的アプローチが受けられる、第三者が入ることで家庭の空気が和らぐ、子どもが親には言えない気持ちを話せる、親のストレスが軽減する、などの利点があります。
家庭だけで限界を感じたときの判断基準
以下に当てはまる場合は支援を使う時期です:
- 母親が明らかに疲れている
- 父親がイライラしてしまう
- 子どもが完全に部屋から出ない
- 家庭での会話がほとんどない
- 子どもの生活が悪化している
不登校は「早めの専門サポート」が改善を早めるというデータもあります。
父親が子どもと向き合うためのメンタルケア
父親自身が限界に近いケースが多い
仕事で疲れ、家庭でも不登校問題があると、父親のストレスは大きくなります。その状態で子どもに向き合おうとすると、どうしても感情的になりがちです。
父親自身の“心の余裕”が改善に直結する
必要なのは、一人の時間、趣味、相談できる相手、専門家への相談など。父親が精神的に安定すると、家庭全体が落ち着きます。
焦りを減らす考え方
考え方のポイント:
- 不登校は珍しいことではない
- 必ず回復のタイミングは来る
- 焦らせるほど改善は遅くなる
- 今は「休息の時期」だと受け止める
心構えひとつで、父親の関わり方は大きく変わります。
まとめ|父親だからこそできることが必ずある
父親の関わりは、決して難しいものではありません。必要なのは「正しさ」ではなく「安心感」です。
今日からできる行動をまとめます。
- 子どもの話を否定せず受け止める
- 母親の負担を減らす
- 家庭の空気を柔らかくする
- 短い声かけでも良いので関わる
- 子どもの興味に寄り添う
- 必要に応じて専門支援を利用する
父親の小さな一歩が、家庭全体を安定へと導き、子どもの回復を早めます。不登校は“家族のチーム”で乗り越えるものです。父親が少し関わるだけで、そのチームは確実に強くなります。



