コラム

コラム学習障害のお子さんのために親ができること|家庭での具体的なサポート方法と関わり方のヒント

「うちの子、一生懸命なのに、どうして読み書きや計算が苦手なんだろう…」「周りの子と比べてしまってつらい…」

学習障害(読み書き計算などに困難があること)のお子さんを育てていると、そんなふうに悩んだり、焦ったり、先のことが不安になったりしますよね。もしかしたら、「自分の育て方が悪いのかな?」なんて、ご自身を責めてしまうこともあるかもしれません。

この記事は、そんな学習障害のお子さんを持つ親御さんのために、「親ができること」に焦点を当てて書きました。 学習障害ってそもそも何?という基本的なことから、お家ですぐに試せる具体的なサポート方法お子さんの自信を育む関わり方のコツ、そして学校や専門家と上手に連携する方法まで、分かりやすくまとめています。親御さん自身の気持ちのケアについても触れています。

この記事を読めば、きっと明日から「こんなことを試してみよう!」と思えるヒントが見つかるはずです。

まず知ってほしい一番大切なことは、学習障害は「育て方」や「本人のやる気」の問題ではない、ということです。生まれつきの脳のタイプの違いのようなもの。だから、正しい理解と、お子さんに合ったサポートがあれば、お子さんは必ず自分らしく伸びていけます。

この記事が、悩んでいるあなたの心を少しでも軽くして、お子さんと一緒に笑顔で前に進むための力になれたら嬉しいです。親としてできることを一緒に見ていきましょう。

まずは知っておこう|学習障害ってどんなこと?

学習障害とは、知的な発達に問題はないけれど、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する・考える」といった特定のことを学んだり使ったりするのが、とても難しい状態のことを言います。これは、本人が怠けているとか、親御さんの育て方が原因ではありません。生まれつきの脳の働き方の違いによるものと考えられています。

だから、「うちの子ができないのは、努力が足りないからだ」と誤解しないでください。 周りの大人がそう思ってしまうと、お子さんは「自分はダメなんだ」と自信をなくしてしまいます。まずはお子さんの「難しさ」を理解してあげることが、親ができるサポートのスタート地点です。

学習障害には、いくつかのタイプがあります。お子さんによって、どんなことが苦手かは違います。代表的なタイプを知っておきましょう。

【表:学習障害の主なタイプと「こんなところが苦手」の例】

タイプこんなところが苦手(例)
読むのが苦手(ディスレクシア)・読むのがすごく遅い
・文字や行を飛ばしたり、読み間違えたりする
・どこを読んでいるか分からなくなる
・読んでも内容が頭に入ってこない
書くのが苦手(ディスグラフィア)・文字の形や大きさがバラバラ
・鏡文字(左右反対の文字)をよく書く
・黒板の字を写すのがすごく遅い
・作文など、文を組み立てるのが苦手
計算・考えるのが苦手(ディスカリキュリア)・数の大小や順番が分かりにくい
・簡単な計算(繰り上がり・下がりなど)ができない
・筆算で位をそろえられない
・図形やグラフを理解するのが難しい

これらは、どれか一つだけ苦手な子もいれば、いくつか同時に苦手な子もいます。小学校に入って勉強が本格的になると、苦手なところがはっきりしてくることが多いです。「もしかして?」と感じたら、一人で悩まず、早めに学校の先生や専門の相談窓口に話してみるのがおすすめです。 早く気づいてサポートを始めることで、お子さんの「困った」を軽くしてあげられますし、「どうせやってもできない」と自信をなくしてしまうのを防ぐことにもつながります。

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親ができること①:勉強しやすい環境を作る

お子さんが「勉強しやすい」と感じる環境を整えてあげることは、お家で親ができる大切なサポートの一つです。 ちょっとした工夫で、お子さんの集中力はぐっと変わります。難しく考えず、できることから試してみましょう。

勉強に集中できる場所づくり

勉強するときは、テレビの音などが気にならない、静かで落ち着ける場所を用意してあげましょう。 特に、周りのものが目に入ると気が散りやすい子もいるので、できるだけシンプルな環境がおすすめです。

場所えらび
リビングの一角でもOKですが、おもちゃなどが視界に入りにくい、静かな場所が良いでしょう。ついたてなどで軽く仕切るだけでも違います。

机の上の整理
勉強に関係ないものは片付けて、机の上には今使う教科書やノート、鉛筆だけを置くようにしましょう。見た目がスッキリしている方が集中しやすくなります。

周りの「ごちゃごちゃ」を減らす
壁に貼るポスターを少なくしたり、カラフルすぎる飾り付けを控えめにしたりするのも工夫の一つです。キャラクターの文房具も、お子さんによっては気が散る原因になることも。

低学年のうちは、お父さんやお母さんの目が届く場所だと、お子さんも安心して勉強でき、分からない時にすぐ質問できるという良い点もあります。お子さんの様子を見ながら、一番集中できる場所を探してあげてくださいね。

勉強時間のちょっとしたコツ

勉強する時間や進め方も、お子さんが集中しやすいように工夫してあげましょう。 長い時間だらだら続けるより、短い時間で区切るのがポイントです。

短い時間で区切る
例えば「15分がんばったら、5分休む」のように、短い時間で区切って休憩をはさむと、集中力が続きやすくなります。キッチンタイマーなどを使うと、時間の目安が分かりやすくて便利です。

得意なことから始める
苦手なことから始めると、やる気がなくなってしまうことも。まずは「これならできる!」という得意な教科や好きなことから始めると、気持ちよく勉強に入れます。

生活リズムを整える
できるだけ毎日同じ時間に勉強するようにすると、生活のリズムができて、勉強モードに切り替えやすくなります。早寝早起きなど、基本的な生活リズムを整えることも、実は集中力アップにつながります。

見てわかる!サポートグッズを活用

言葉だけで説明されるより、目で見て分かるものがあると、お子さんは理解しやすくなります。 分かりやすいサポートグッズを取り入れてみましょう。

  • 「やることリスト」や手順を見える化
  • 図やモノを使って説明
  • 時間が見えるタイマー

【表:お家で使える!見てわかるサポートグッズの例】

グッズこんなふうに使えるいいところ
ホワイトボードやることリスト、今日の予定、メモ、図で説明書いたり消したりしやすい、変更しやすい
付箋(ふせん)勉強の手順わけ、大事なところに貼る、メモ手軽に使える、色で分けられる
絵カード・図やることの手順(歯みがき、準備など)、気持ちを伝える、算数の説明言葉だけより分かりやすい、パッと見てわかる
タイマー勉強時間と休憩の区切り、活動の切り替え時間の見通しがつく、時間を意識できる
おはじき・ブロック数の大きさの理解、たし算・ひき算の練習手で触って理解できる

これらのグッズは、100円ショップなどで手軽に買えるものもあります。お子さんが「これ、分かりやすい!」と思えるものを、一緒に探してみるのも楽しいかもしれませんね。

親ができること②:お子さんの苦手に合わせた勉強サポート

学習障害の困りごとは、お子さん一人ひとり違います。だから、「みんなと同じやり方」ではなく、お子さんの苦手なことに合わせて、親がサポートを工夫してあげることが大切です。 ここでは、「読む」「書く」「計算する」という代表的な苦手さについて、親ができるサポートのヒントをご紹介します。

「読む」のが苦手な子へ:親ができること

読むのが苦手なお子さんには、文字を読む負担を軽くしたり、耳から情報を入れたりするお手伝いが効果的です。

●耳からの情報を活用する

読み聞かせは、お父さんやお母さんが教科書や本を読んであげることで、内容を理解するのに大きな助けになります。声で聞くことで、文章のリズムや意味がより分かりやすくなり、記憶にも定着しやすくなります。

また、読み上げ機能を活用するのも効果的です。パソコンやタブレットには、文章を読み上げてくれる機能が搭載されているものも多く、文字を目で追いながら音声でも確認できるので、理解を深めることができます。

●視覚的な工夫を取り入れる

読んでいる行が分かりやすくなる方法として、指や定規を使うのが効果的です。指で押さえたり、定規でラインを引いたり、いらない行を隠すことで目が迷わずスムーズに読めます。

また、文章を意味のまとまりや短い文節で区切ると、視覚的に整理されて読みやすくなります。

さらに、教科書やプリントを拡大コピーしたり、読みやすいデザインの文字(UDフォントなど)を使ったりするのもおすすめです。

●内容を理解しやすくする

内容を理解しやすくするためには、絵や図を手がかりにすることが有効です。

絵本や図鑑、イラストが多い教材では、絵を見ながら話の内容を想像しやすくなります。

また、読む前に簡単に内容を伝えてあげると、話の全体像が頭に入りやすく、理解が深まります。

「書く」のが苦手な子へ:親ができること

書くのが苦手なお子さんには、いきなり上手に書くことを求めず、まずは書くことへの抵抗感を減らすことから始めましょう。 書く負担を軽くする工夫が大切です。

●書くことへのハードルを下げる

書くことへのハードルを下げるためには、まず「読む」ことから始めるのが効果的です。しっかり読めるようになってから書く練習に進むと、スムーズに進む場合があります。また、なぞり書きから始めて、薄い文字や点線をなぞることで鉛筆を動かす感覚をつかむことができます。さらに、たくさん書くよりも少ない字でも丁寧に書くことを目標にすると、より確実に書けるようになります。

●書きやすい工夫する

書きやすい工夫として、マス目が大きいノートを使うと、字の大きさやバランスが取りやすくなります。補助線が入ったノートも便利です。また、お子さんが「これ書きやすい!」と感じる鉛筆やペンを探してあげることも大切です。グリップが太いものや、滑り止めがついたものを試してみましょう。さらに、足が床にしっかりつく高さの椅子と机を使い、正しい姿勢で書くことも重要です。

漢字の覚え方の工夫

漢字を覚えるための工夫として、まずは漢字を部首などのパーツに分けて覚えることが有効です。また、絵からできた字(象形文字)なら、その成り立ちを教えると覚えやすくなります。さらに、楽しい覚え方として、歌やリズムに乗せたり、面白い語呂合わせを使ったりするのも効果的です。

●パソコンやタブレットを使う

文字を書くのがとても大変な場合は、パソコンやタブレットで文字を打つタイピングの練習をするのも一つの手です。作文などで役立つこともあります。ただし、学校で使う場合は、先生に相談が必要です。

「計算・考える」のが苦手な子へ:親ができること

計算や考えることが苦手なお子さんには、難しい数の考え方を、具体物を使ったり、図に描いたりして、分かりやすくしてあげることが大切です。 答えが合っているかだけでなく、どう考えたかを大事にしましょう。

●数のイメージをつかむ

数の感覚を養うためには、実際に物を数えたり、数を使った遊びを取り入れたりすることが大切です。数の大きさや順番を直感的に理解できるようになると、計算がスムーズに進みます。

●計算の手順を分かりやすく

計算の手順を順を追って分かりやすく説明することが大切です。まずは簡単な計算から始め、少しずつ難易度を上げていくと理解が深まりやすくなります。

●便利な道具を使う

計算をサポートしてくれる便利な道具(計算機や数表、数の棒など)を使うことで、視覚的に計算の進行を確認しやすくなり、理解が進みます。

●焦らず、ゆっくり、丁寧に

焦らず、ゆっくりと計算を進めることが重要です。急ぐことなく、丁寧に手順を踏んでいくことで、より確実に理解が深まり、ミスを減らすことができます。

【表:勉強を助ける道具や教材の例】

カテゴリいいところ・使い方
パソコン・タブレットタブレット、パソコン、電子辞書読み上げ、文字拡大、文字入力、勉強アプリ、調べものに便利
アプリ・ソフト読み上げソフト、音声入力ソフト、勉強アプリ(漢字、計算など)、デジタル教科書自分のペースでできる、ゲーム感覚で学べる、繰り返し練習しやすい、音声や絵で分かりやすい
文房具読みやすい字のノート、マス目が大きいノート、持ちやすい鉛筆・ペン、色ペン書くのが楽になる、見やすい、整理しやすい
教材絵カード、図が多い教材、おはじき・ブロック、オーディオブック見たり聞いたり触ったりして理解できる、難しいことを具体的に考えられる
オンライン教材個別の学習動画、ウェブ教材自分のペースで進められる、繰り返し見られる、どこでも勉強できる

ここで紹介したのは、あくまで親ができるサポートの例です。一番大切なのは、お子さんの様子をよく見て、「何に困っているのかな?」「どうすれば分かりやすいかな?」と一緒に探していくことです。 色々試しながら、お子さんにピッタリの方法を見つけてあげてくださいね。専門家に相談するのも、良い方法を見つける近道です。

親ができること③:お子さんの「自信」を育む関わり方

勉強のサポートと同じくらい、いえ、もしかしたらそれ以上に親ができる大切なことは、お子さんの心を育て、自信を持たせてあげることです。 勉強で「できない…」と感じることが多い学習障害のお子さんにとって、お父さんやお母さんの温かい関わりは、「自分はこれでいいんだ」と思えるための土台になります。

「できた!」をたくさん作る

自信を育む一番の方法は、「できた!」という嬉しい経験をたくさんさせてあげることです。 そのためには、目標を少し低めに設定して、達成感を味わえるように工夫しましょう。

●「小さな目標」を設定する

大きな目標だと難しくて諦めてしまうことも。目標を小さく分けて、「これならできそう!」という簡単なステップから始めましょう。例えば、「漢字ドリルを1ページやる」ではなく、「まずこの漢字を3回書いてみよう」のように。

●結果だけでなく「頑張り」を褒める

「100点取れたね!」という結果だけじゃなく、「難しい問題だけど、最後まで頑張ったね!」「前はできなかった〇〇が、できるようになったね!」のように、頑張った過程や、前と比べてできるようになったことを具体的に褒めてあげましょう。「頑張ってるね!」と認めてもらえることが、やる気につながります。

「自分っていいな」と思える気持ちを守る

お子さんが自分自身を好きになり、自信を持ってくれるかどうかは、親御さんの普段の言葉かけや態度がとても影響します。 知らず知らずのうちにお子さんを傷つけないように、こんなことに気をつけてみましょう。

●他の子と比べない

「〇〇ちゃんはもうできるのに」「お兄ちゃんはもっとできたよ」のように、他の子と比べるのはやめましょう。お子さんは「自分はダメなんだ」と感じてしまいます。比べるなら、過去のお子さん自身と比べて、「前よりこんなにできるようになったね!」と伝えてあげましょう。

●失敗しても責めないで一緒に考える

うまくいかなかった時に、「どうしてできないの!」と感情的に怒るのではなく、「どこが難しかった?」「次はどうしたらいいかな?」と一緒に考える姿勢を見せましょう。失敗しても大丈夫、次はできるようになろう、と思えることが大切です。

●「頑張れ!」の言い過ぎに注意

もちろん応援の気持ちは大切ですが、すでに一生懸命頑張っている子にとって、「頑張れ!」がプレッシャーになることも。「いつも頑張ってるね」と、努力を認める言葉の方が、心に届くこともあります。

●気持ちを受け止めて、話を聞く

お子さんが「悔しい」「悲しい」と言ったときは、「そんなことないよ」と否定せず、「そっか、悔しかったんだね」と気持ちを受け止めてあげましょう。ゆっくり話を聞いてあげる時間を作ることも、お子さんの安心につながります。

得意なこと・好きなことを見つけて伸ばす

勉強で苦手なことがあると、ついそちらにばかり目が行きがちですが、お子さんの得意なことや好きなことを見つけて、それをうんと伸ばしてあげることも、自信を育むためにすごく大切です。

●「できること」「好きなこと」に目を向ける

勉強だけでなく、運動や音楽、絵、工作、ゲーム、お手伝いなど、お子さんが夢中になれることや得意なことを見つけてあげることが大切です。これにより、自信を持つきっかけになります。

●輝けるチャンスを作る

得意なことで活躍できたり、褒められる経験をさせてあげると、「自分にもできることがある」と自信がつきます。ポジティブな経験は成長を促進します。

●好きなことに熱中する時間を大切に

好きなことに集中している時間は、お子さんにとってストレス発散になり、集中力を育てる大切な時間です。熱中することで、心のリフレッシュにもなります。

私の経験から言っても、勉強が苦手なお子さんほど、何か一つでも「これは得意!」と思えることがあると、それが心の支えになることが多いです。

「自分でできた!」を応援する

将来、お子さんが自分の力で生きていくために、年齢に合わせて、自分でできることは自分でやらせてみる、という関わりも大切です。

●できることは見守る

着替えや学校の準備、片付けなど、少し時間がかかっても、お子さんが自分でできることは、手伝いすぎずに見守ってあげましょう。

●お手伝いと「ありがとう」

簡単なお手伝いを頼んで、できたら「ありがとう!助かったよ!」と具体的に感謝を伝えることで、「自分も役に立てるんだ」という気持ちが育ちます。

●自分で選ぶ・決める

「どっちの服にする?」「宿題、どっちからやる?」など、お子さん自身が選んだり決めたりする小さな経験も、自分で考える力を育てます。

心配だからと何でも親がやってあげるのではなく、お子さんの力を信じて、少しずつ「自分でできた!」を応援してあげましょう。

学校との連携:子供のためのチームを作る

お子さんの学習障害へのサポートは、お家だけで頑張るものではありません。お子さんが長い時間を過ごす学校としっかり連絡を取り合い、協力してサポートしていくことがとても大切です。 担任の先生と良い関係を築き、必要なサポートをお願いしていきましょう。

担任の先生と仲良くなることから

まずは、担任の先生と何でも話し合える関係を作ることが、スムーズな連携の第一歩です。 連絡帳や個人面談などを利用して、こまめに情報交換しましょう。

●お家での様子を伝える

お子さんが家でどんなふうに勉強しているか、何に困っているか、どんな声かけが効果的かなどを具体的に伝えましょう。「〇〇の時に集中が切れやすいみたいです」「△△と声をかけるとやる気が出ます」といった情報は、先生がクラスで指導する際のヒントになります。

●学校での様子を聞く

同じように、学校での勉強の様子、授業中の態度、お友達とのこと、困っていることなど、家では分からないことを先生に聞いてみましょう。家と学校での情報を合わせることで、お子さんのことをより深く理解できます。

●「ありがとう」を伝える

先生がお子さんのためにしてくれた工夫や配慮に対して、「ありがとうございます」「助かります」と感謝の気持ちを伝えることも、良い関係を作るために大切です。

【表:担任の先生と連携するときのポイント】

こんな目的でこんなことを話そう・聞こう連絡方法の例
情報共有(家→学校)・家での勉強の様子、困っていること
・やる気の出る声かけ、サポート方法
・体調や気分の波
・(学校に影響しそうな)家での出来事
連絡帳、電話、面談
情報共有(学校→家)・授業中の様子、勉強態度
・宿題の出来具合、苦手なところ
・お友達とのこと、休み時間の様子
・行事での様子
連絡帳、電話、面談
相談・お願い・勉強の仕方についての相談
・お友達関係の悩み
・具体的なサポートのお願い(合理的配慮)
面談、電話
良い関係づくり・普段からのこまめな連絡
・先生への感謝を伝える
・学校行事への協力
いつでも

学校で受けられるサポートや工夫(合理的配慮)について相談する

「合理的配慮」というと難しく聞こえますが、これは、障害のあるお子さんが、他の子と同じように勉強できるように、学校がそれぞれの状況に合わせてしてくれるサポートや工夫のことです。 学習障害のあるお子さんも、必要ならこのサポートを受けられます。特別なことではなく、お子さんがしっかり学ぶための権利です。

【表:学習障害のお子さんが受けられるサポートや工夫の例】

サポートの種類具体的なサポートや工夫の例
勉強のしかた・タブレットやパソコンを使う(黒板を写す、ノートを書く、計算する、読み上げてもらう)
・プリントや教材の工夫(文字を大きくする、ふりがなをふる、読みやすい文字にする)
・宿題の量を調整してもらう
・音声教材を使わせてもらう
テスト・テストの時間を長くしてもらう
・別の静かな部屋で受けさせてもらう
・問題文を読んでもらう
・答え方を工夫する(口で答える、パソコンで打つ)
・成績のつけ方を工夫してもらう
教室の環境・席を配慮してもらう(前の方、静かな場所など)
・ついたてを使わせてもらう
・イヤーマフ(耳あて)を使わせてもらう
先生とのやりとり・指示を分かりやすく、具体的にしてもらう
・ゆっくり、はっきり話してもらう
・メモを取る時間をくれる

これらはあくまで例です。お子さんの困り具合に合わせて、必要なサポートは違います。

サポートをお願いするときのポイント

  • 「どう困っているか」を具体的に伝える
  • 「どんなサポートをしてほしいか」を提案する
  • なぜそのサポートが必要か説明する
  • お医者さんや専門家の意見(あれば)

学校でのサポートは、先生と親御さんが話し合って、協力しながら決めていくものです。「こうしてください!」と一方的に言うのではなく、「どうしたらこの子にとって一番良いか、一緒に考えていきましょう」という姿勢が大切です。

「個別の計画」について聞いてみる

学校によっては、お子さん一人ひとりのための特別な「支援計画」や「指導計画」を作っていることがあります。 これは、お子さんの苦手なことや得意なことを考えて、どんな目標で、どんなサポートをしていくかを具体的に書いた計画書です。親御さんもこの計画作りに関われるので、担任の先生に「うちの子の計画はありますか?」と聞いてみると良いでしょう。計画があると、より一貫したサポートが受けやすくなります。

学校にいる相談できる人(コーディネーター、カウンセラー)

多くの学校には、特別な支援が必要な子のための相談役の先生(特別支援教育コーディネーター)がいます。 また、心の専門家であるスクールカウンセラーがいる学校もあります。担任の先生にはちょっと話しにくいことや、もっと専門的なアドバイスが欲しいときに、これらの先生に相談してみるのも良い方法です。

専門家や利用できる支援・情報を活用しよう

お家や学校だけでは難しいことや、もっと専門的なサポートが必要なときは、他の専門家や利用できる支援・情報を頼ってみましょう。 親御さんだけで抱え込まず、使えるものを上手に探すことが大切です。適切なサポートにつながれば、お子さんも楽になりますし、親御さんの負担も軽くなります。

どこに相談できる?

「どこに相談したらいいか分からない…」というときは、まずはお住まいの地域の相談窓口に連絡してみましょう。 いろいろな相談場所がありますが、それぞれ役割が違います。

【表:主な相談できる場所の例】

相談場所の種類こんな相談ができる(例)
地域の相談窓口
・教育センター、教育相談所学校での勉強や生活についての相談、就学相談など。
・児童相談所子ども(18歳未満)に関する色々な相談(発達、子育て、家庭環境など)。
・発達障害者支援センター発達障害についての専門的な相談(困りごと相談、発達支援、仕事の相談、情報提供など)。本人や家族、学校などからの相談に乗ってくれる。
・市の保健センター、子育て支援センター赤ちゃんの健診、育児相談、発達の相談など、身近な相談窓口。
お医者さん
・小児科、児童精神科、小児神経科など発達についての診察、検査、診断、医学的なアドバイス、お薬(必要な場合)、診断書作成など。
その他の専門家
・大学の相談室、民間の相談室(カウンセリング)心理検査、カウンセリングなど。

相談場所を選ぶときは、お子さんの年齢や、どんなことを相談したいか(勉強のこと、心のこと、お医者さんの意見が聞きたいなど)に合わせて選ぶのがポイントです。まずは電話などで問い合わせて、どんな相談に乗ってもらえるか聞いてみると安心です。

勉強をサポートしてくれる場所

学校の勉強だけでは追いつくのが大変なときや、もっと一人ひとりに合わせたサポートが必要なときは、次のような場所を利用することも考えてみましょう。

●通級指導教室

いつもいるクラスとは別に、週に数時間だけ、苦手なことに合わせた特別な指導を受けられる教室です。自分の学校や近くの学校にあります。利用するには手続きが必要です。

●発達障害に詳しい塾や家庭教師

最近は、発達障害のあるお子さんの指導に詳しい塾や家庭教師が増えています。一人ひとりに合わせて、ゆっくり丁寧に教えてくれたり、パソコンなどを使ったり、お子さんに合った方法でサポートしてくれます。

●放課後等デイサービス

小学生から高校生までの、障害のあるお子さんが、放課後や夏休みなどに利用できる場所です。勉強を教えてくれるだけでなく、生活の練習をしたり、お友達と交流したりする活動もあります。利用するには「受給者証」というものが必要です。

これらのサービスを選ぶときは、内容や料金だけでなく、教えてくれる人の専門性や、お子さんとの相性、教室の雰囲気などをよく見ることが大切です。 できれば体験授業などを受けてみると良いでしょう。

親御さんのためのサポート

お子さんを一生懸命サポートしている親御さん自身を支えてくれる場所もあります。 同じ悩みを持つ親同士で話したり、専門家から子育てのコツを学んだりすることは、一人で悩んでいる気持ちを軽くし、元気を取り戻す助けになります。

●親の会

同じ学習障害のある子を持つ親が集まる会です。全国LD親の会など、色々な会があります。同じ経験をした仲間と話せるのは、とても心強いものです。具体的な工夫や情報交換ができるのも良い点です。(「同じ立場の親同士の支え合い」とも言います)

●親向けの学びのプログラム

発達障害のあるお子さんのことを理解し、より良い親子関係を築きながら、お子さんの良いところを伸ばすための具体的な関わり方(褒め方や指示の出し方など)を学ぶプログラムです。

●経験のある先輩ママ・パパからのアドバイス

同じように発達障害の子を育てた経験のある先輩ママ・パパ(メンター)に、相談に乗ってもらったり、アドバイスをもらったりできる仕組みです。経験者ならではの「分かる!」という共感や、具体的なヒントがもらえます。

これらのサポートは、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と思わせてくれ、子育てにもう一度向き合う力をくれます。お住まいの地域の発達障害者支援センターや市役所などで情報を聞いてみましょう。

親御さん自身の心も大切にしよう

お子さんの学習障害に向き合い、毎日サポートを続ける中で、お父さんやお母さん自身が、心も体も疲れてしまうのは、当たり前のことです。 不安になったり、イライラしたり、自分を責めたり、孤独を感じたり…色々な気持ちになるのは、あなただけではありません。でも、親御さんがダウンしてしまったら、お子さんを支えるのも大変です。お子さんのためにも、そしてあなた自身のためにも、自分の心を大切にすることを忘れないでください。

●一人で抱え込まないで

相談できる相手は必ずいます。パートナー、信頼できる友達、親の会、専門家など、あなたの気持ちを話せる相手を見つけましょう。「話す」だけでも、心が軽くなることがあります。

●自分の気持ちを「それでいい」と認める

不安や怒り、悲しみを感じてしまう自分を、「ダメな親だ」なんて責めないでください。「こんなに頑張っているんだから、そう感じるのも無理はないよね」と、自分の気持ちを受け止めてあげましょう。

●自分のための時間を作る

ほんの少しの時間でもいいんです。意識して自分のための時間を作り、好きなことやホッとできることをして、心と体を休ませましょう。趣味、散歩、友達とお茶、ゆっくりお風呂に入る…何でもOKです。

●完璧じゃなくていい

「完璧な親」「完璧なサポート」なんて目指さなくて大丈夫。うまくいかない日があっても、「まあ、いっか」「今日はこれだけできれば十分!」と、自分を許せる心の余裕を持ちましょう。頑張りすぎも良くありません。

●正しい情報を知る

学習障害についての、確かでない情報に振り回されると、よけいに不安になってしまいます。信頼できる場所(役所や専門機関、信頼できる本やウェブサイトなど)から、正しい情報を知ることも、心を落ち着かせる助けになります。

親御さんが笑顔でいることが、お子さんにとって一番の安心です。自分のことも、大切にしてくださいね。

よくある質問(Q&A)

学習障害について、親御さんからよく聞かれる質問にお答えします。

Q1. 学習障害は治りますか?

A. 学習障害は、風邪のように薬で「治る」ものではありません。生まれつきの脳のタイプの違いなので、そのタイプ自体が完全になくなるわけではありません。でも、心配しないでください。お子さんに合ったサポートや周りの工夫、そして本人の頑張りによって、困りごとを軽くしていくことは十分できます。 年齢が上がると、苦手なことをカバーする方法(道具を使ったり、得意なことで補ったり)を自分で見つけられるようにもなります。「治す」ことよりも、お子さんが持っている力を発揮できるように「お手伝いする」と考えていきましょう。

Q2. 病院で診断を受けた方がいいですか?

A. 診断を受けるかどうかは、ご家庭で決めることです。必ず診断がないとサポートが受けられないわけではありません。ただ、診断を受けることの良い点もあります。 お子さんの困りごとの理由がはっきりすることで、親御さん自身が納得でき、どうサポートすればいいか分かりやすくなります。また、学校でサポートをお願いしたり、福祉サービスを利用したりするときに、診断書があると話がスムーズに進むこともあります。でも、「診断」と聞くと抵抗を感じる方もいるでしょう。迷う場合は、まず専門の相談窓口などで相談して、メリット・デメリットを聞いてみるのがおすすめです。診断がなくても、教育相談などは受けられます。

Q3. きょうだいへの影響は?遺伝しますか?

A. 遺伝については、学習障害になりやすい体質が受け継がれる可能性はあると言われていますが、必ず遺伝するわけではありません。 色々な要因が関係していると考えられています。あまり心配しすぎず、もしきょうだいにも気になる様子があれば、相談機関に相談してみましょう。

Q4. 将来が心配です。この子はどうなりますか?

A. 学習障害があっても、自分の得意なこと・苦手なことを理解し、周りのサポートを受けながら、自分に合った道を見つけて、社会で活躍している人はたくさんいます。 大切なのは、早くからお子さんに合ったサポートを受け、お子さん自身が「自分はこれが得意で、これが苦手」と分かり、それを人に伝えられるようになることです。そして、進路を選ぶときには、勉強の成績だけでなく、お子さんが興味のあることや得意なことを活かせる道がないか、一緒に探していくことが大事です。最近は、発達障害のある学生をサポートしてくれる大学や専門学校、就職を応援してくれる機関も増えています。希望を持って、今できることを一つずつやっていきましょう。

お子さんの力を信じて、できることから始めよう!

この記事では、学習障害のお子さんのために親ができることとして、学習障害の理解、家庭でのサポート、学校との連携、そして親御さん自身のケアについてお話ししてきました。

もう一度、大事なポイントをおさらいしましょう。

  • 【まず理解する】 学習障害は本人のせいじゃない、脳のタイプの違い。
  • 【お家でできること】 勉強しやすい環境を作り、お子さんに合った勉強の工夫と、自信を育む声かけをすること。
  • 【チームで支える】 学校や専門家と協力して、お子さんをサポートすること。
  • 【自分も大切に】 親御さん自身の心と体を大事にすること。

学習障害があると、親子で大変なこともあるかもしれません。でも、それは決して不幸なことではありません。正しい理解と、お子さんに合ったサポート、そして何より「この子なら大丈夫」と信じる気持ちがあれば、お子さんは必ず自分らしい花を咲かせることができます。

周りを見れば、あなたを助けてくれる人、一緒に悩みを話せる仲間がいます。この記事を読んで、「これならできそう」「相談してみようかな」と思えたら、それが素晴らしい第一歩です。

あなたは一人じゃありません。 どうか自信を持って、お子さんと一緒に、焦らず、ゆっくり、前に進んでいってください。応援しています。

今日からできること、何か一つ始めてみませんか?

  • この記事で紹介した、お家でできるサポートを一つ試してみる。
  • 連絡帳に、家での様子や困っていることを具体的に書いてみる。
  • お住まいの地域の相談窓口(教育センターなど)に電話してみる。
  • 「親の会」をインターネットで探してみる。

行動することで、きっと道が開けてきますよ。

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