
第1章 社会人の引きこもりとは?
社会人になってからの引きこもりは、学生時代の不登校とは異なる特性を持っています。一般的には、6か月以上にわたり家庭内で過ごし、就労や社会参加が困難な状態を指します。内閣府の調査によると、引きこもり状態にある人は全国で約146万人に上り、そのうち20代後半から50代の社会人世代が過半数を占めています。
社会人の引きこもりは、かつての学校生活での不登校経験とは違い、「一度社会に出た後に社会から離脱してしまう」という特徴があります。仕事やキャリアへの挫折、人間関係のストレス、過度の責任感、心身の疲労などが重なり、徐々に社会から距離を取るようになります。特に30〜40代では、これまで築いてきたキャリアや社会的評価を失ったという喪失感が強く、自尊心の低下や自己否定感が引きこもり状態を長期化させる原因になりやすいのです。
また、家族との同居が可能な場合、経済的な最低限の安定があることで引きこもり期間が長期化しやすく、精神的孤立が深まる傾向があります。こうした背景を理解することで、引きこもり状態の社会人に適切な支援や対応策を提供するための第一歩となります。
第2章 社会人が引きこもりになる主な原因
職場の人間関係トラブルやパワハラ
社会人の引きこもりのきっかけとして最も多いのが職場での人間関係の問題です。上司や同僚とのトラブル、ハラスメント、孤立感などにより、出勤そのものが苦痛になるケースが少なくありません。日本社会には「我慢して働く文化」が根強く存在し、退職や休職を選択する前に無理を重ねてしまうことが多く、心身に負担が蓄積します。結果として、精神的に疲弊し、外部との接触を避ける生活が定着してしまうのです。
過労やキャリアの挫折
長時間労働や過度の責任による過労、期待に応えなければならないというプレッシャーも、引きこもりの原因になります。職場での失敗や希望していたキャリアの実現が難しい場合、強い挫折感を抱き、社会との関わりを避ける傾向が生まれます。特に中堅世代では、仕事の重圧や責任感が強いため、燃え尽き症候群や精神的疲弊が起こりやすく、引きこもり状態を長期化させる要因となります。
メンタルヘルスの不調
うつ病や不安障害、適応障害などのメンタル不調も社会人の引きこもりに大きく関与しています。精神的に追い詰められた結果、外出や人との関わりが困難となり、生活の自立が難しくなります。メンタル不調は目に見えにくいため、本人が「怠けているだけ」と自分を責めてしまうケースも多く、心理的負担がさらに引きこもりを長引かせます。
家族や経済的な問題
経済的困難や家庭内の問題も引きこもりの要因として無視できません。リストラ、倒産、離婚、親の介護などが重なると、社会参加に対する心理的障壁が高くなります。生活基盤の不安や孤独感が強まり、「どうせ何をしても変わらない」とあきらめの気持ちが定着してしまうことがあります。このような状況では、支援を受けずに放置すると、引きこもりが長期化するリスクが高まります。
就労自立支援のスペシャリスト

らいさぽセンター本校の「就労自立支援プラン」は、引きこもりや不登校、ニートの方が社会復帰と経済的自立を目指すための支援プログラムです。施設内での実務体験や大手企業との提携による就労体験を通じて、働く喜びやスキルを身につけられます。介護施設や飲食店など多様な職種での体験も可能で、生活拠点を整えながら無理なく社会との接点を持つことができます。自宅送迎や個別サポート、月額制の料金プランに対応しており、安心して学習と就労体験を始められる環境が整っています。
第3章 引きこもりが続くと起こる問題
生活リズムの乱れと健康への影響
引きこもり生活が長期化すると、昼夜逆転や睡眠障害、食生活の乱れなど生活リズムが崩れます。これにより心身の健康が悪化し、免疫力の低下や体力の衰えが生じます。さらに運動不足や日光不足によるうつ症状の悪化など、精神的健康にも影響が及ぶことがあります。
経済的困窮と将来不安
収入がない状態が続くと貯金が減少し、生活費を家族に依存せざるを得なくなります。将来の生活設計が立たず、自己肯定感の低下や焦燥感が強まります。このような負の連鎖は、再就職や社会復帰への意欲をさらに削ぐ原因になります。
社会的孤立と家族への影響
外部との接触が減ることで社会的孤立が進行し、友人関係の喪失や社会ネットワークの欠如が生じます。家族もまた、本人への対応に疲弊し、精神的・経済的な負担が増大します。長期的には家族関係が悪化することもあり、引きこもり状態がさらに固定化される場合があります。
第4章 社会人の引きこもり支援の種類
行政の支援制度
全国の自治体では、引きこもりや生活困窮者を対象とした相談窓口を設置しています。「自立相談支援事業」や「地域若者サポートステーション」などが代表例で、生活再建や就労支援、カウンセリングなどのサポートを受けられます。利用することで、社会復帰に必要な情報提供や生活支援、心理的サポートを受けることが可能です。
民間の支援サービス
NPO法人や民間団体も社会人向けの支援を提供しています。就労支援、居場所提供、メンタルサポート、オンライン相談など、多様なプログラムが用意されており、個々の状況に合わせて柔軟に対応可能です。専門スタッフが生活面や就労面の相談に応じ、安心して支援を受けられる環境を整えています。
メンタルケア・カウンセリング
心理士や精神科医によるカウンセリングも重要な支援の一つです。話を聞いてもらうことで心理的負担が軽減し、問題の整理や目標設定が容易になります。自治体やオンラインでは無料や低料金で利用できる場合があり、精神的な安定を取り戻す第一歩として活用できます。
在宅・オンライン支援
外出が困難な場合でも、オンライン支援を活用することで社会参加への第一歩を踏み出せます。オンライン面談、在宅ワーク、リモート型就労プログラムなど、多様な方法で社会とのつながりを取り戻すことが可能です。特に近年では、地域に縛られず専門的な支援を受けられる環境が整いつつあります。
第5章 社会復帰のためのステップ
ステップ1:生活リズムの回復
まずは朝起きて夜眠るという基本的な生活リズムを整えることが重要です。無理に大きな変化を求めるのではなく、少しずつ起きる時間や食事のタイミングを調整していきましょう。安定した生活リズムは、心身の健康回復や心理的安定につながります。
ステップ2:小さな行動から始める
外出が難しい場合は、家の中でできる行動から始めます。掃除、読書、簡単な運動、趣味に取り組むなど、自分にできることを積み重ねることで達成感や自信を回復できます。小さな成功体験が、社会復帰の基盤となります。
ステップ3:支援機関や専門家への相談
信頼できる支援機関や専門家に相談することは、回復への近道です。心理的な整理や具体的な社会復帰プランを立てるサポートを受けられるため、一人で悩む時間を減らすことができます。相談を通じて、生活面や就労面での課題を明確化し、段階的に解決策を探ることが可能です。
ステップ4:社会との再接続
ボランティア活動や短時間労働など、社会との関わりを徐々に増やすことが大切です。いきなりフルタイム勤務を目指す必要はありません。小さな一歩を積み重ねることで、社会参加への自信を取り戻し、長期的な安定につながります。
第6章 家族にできるサポートとは
共感的な姿勢を持つ
家族が焦って「早く働いてほしい」とプレッシャーをかけると、逆効果になることがあります。「なぜできないの?」ではなく、「つらかったね」「少しずつでいいよ」と共感的に受け止める姿勢が重要です。理解されていると感じることで、本人は安心し、回復への意欲を持ちやすくなります。
無理に外へ出さない
本人のペースを尊重することが大切です。無理に外出させようとすると恐怖感や抵抗感が強まり、引きこもり状態が固定化する可能性があります。支援機関の力を借りつつ、段階的に社会との関わりを増やすことが望ましいです。
家族自身も支援を受ける
家族もまた孤立しやすい状況にあります。家族会や支援グループに参加することで、同じ悩みを持つ人とつながり、情報交換や心理的支えを得られます。これにより、家族自身の負担が軽減され、本人へのサポートも安定して行えるようになります。
第7章 実際の支援事例と回復の体験談
30代男性・会社員からの再出発
職場での過労と人間関係のストレスで退職後、2年間引きこもり状態だったAさん。初めは外出すら困難でしたが、カウンセリングや支援サービスを通じて少しずつ生活リズムを整えました。週1回の在宅ワークから始め、段階的に社会との関わりを増やすことで、自信を取り戻し、最終的にはフルタイム勤務に復帰。心身の健康も回復し、家族との関係も改善しました。
40代女性・家庭内引きこもりから社会参加
家事や育児の一区切り後、孤独感から外出できなくなったBさん。オンライン相談を通じてメンタルケアを受け、在宅でできる軽作業からスタートしました。徐々に自信を取り戻し、地域のボランティア活動にも参加。現在は社会とのつながりを維持しながら、自宅での生活も安定しています。
支援センターによる成功事例
支援センターでは、個々の状態に合わせた就労支援や心理ケアを提供しています。カウンセリング、生活指導、社会参加の支援などを組み合わせることで、多くの利用者が自立や社会復帰に成功しています。段階的に無理なく取り組む支援が、回復への鍵となっています。
就労自立支援のスペシャリスト

らいさぽセンター本校の「就労自立支援プラン」は、引きこもりや不登校、ニートの方が社会復帰と経済的自立を目指すための支援プログラムです。施設内での実務体験や大手企業との提携による就労体験を通じて、働く喜びやスキルを身につけられます。介護施設や飲食店など多様な職種での体験も可能で、生活拠点を整えながら無理なく社会との接点を持つことができます。自宅送迎や個別サポート、月額制の料金プランに対応しており、安心して学習と就労体験を始められる環境が整っています。
第8章 まとめ|社会人引きこもりからの第一歩を踏み出すために
社会人の引きこもりは、誰にでも起こり得る現代的な課題です。大切なのは、自分を責めず、一人で抱え込まないことです。支援を受けながら少しずつ外の世界とつながることで、着実に回復の道を進めます。
社会との再接続には時間がかかりますが、どんな小さな一歩も前進です。焦らず、支援機関や専門家に相談しながら、自分に合ったペースで社会復帰を目指すことが重要です。支援を受けることで、再出発の可能性は必ず広がります。



