「人に会うのが怖い、家から出る勇気が出ない」
「家族が引きこもって出てくる様子がない」
仕事や人間関係といったきっかけで、引きこもってしまうことは珍しくありません。しかし、立ち直り社会復帰するにはどうすれば良いのか、いざ事態に直面すると悩んでしまいますよね。
大人の引きこもりが社会復帰するには、適切なサポートを受けることがおすすめです。そこでこの記事では大人が引きこもりになる原因や、解決策について解説していきます。
この記事を読むことで大人が受けられる引きこもり支援を理解し、社会復帰に向けた一歩を踏み出せるようになるでしょう。ぜひ最後まで読んでいただき、引きこもりからの脱却の参考にしてみてくださいね!
この記事でわかること
- 大人の引きこもりが直面している背景について
- 社会復帰するための具体的な方法やきっかけ
- 引きこもりをサポートする団体や施設の紹介
こんな人におすすめの記事です
- 引きこもりの状況にある大人やその家族・友人
- 社会復帰に向けた準備を検討している方
- 引きこもりの大人をサポートする支援団体について知りたい方
年々増えつつある大人の引きこもり
2022年11月に内閣府で行われた調査では、15歳から64歳までの年齢層の内、推計146万人が引きこもりであることが明らかになりました。これは全体人数の2%ほどの数です。
内閣府:こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)p163
また15歳から34歳までの若年層の引きこもりの増加も見られ、新型コロナウイルスの流行による社会の変化も、引きこもりのきっかけになっていると考えられています。
今では珍しくない大人の引きこもり。そもそも引きこもりとはどういったものなのでしょうか?
引きこもりの定義とは
引きこもりとは仕事や学校に行かず、6カ月以上家庭に引きこもっている状態のことを指します。
しかし引きこもりだからといって家から一切出ないというわけではありません。中にはコンビニや公園など他者との交流を持たない外出や、趣味に関わることであれば外に出られるという人もおります。
8050問題は大人の引きこもりが原因
「8050問題」とは、大人の引きこもりが長期化することによって発生する問題です。本来自立しているはずの年齢である50代が、80代の親に世話をされるという逆転の状態のことで、高齢化社会において深刻な問題であるとされています。
引きこもりは若年層特有のものとされていましたが、今ではその若年層の高齢化が珍しくなくなっているのです。
大人の引きこもりの主な原因やきっかけ
それでは大人が引きこもりになってしまう原因とは何でしょうか。ここでは、
- 学生時代の悩み
- 仕事関係の悩み
- 精神疾患や病気
の、3つのパターンをご紹介します。
学生時代からの引きこもりの長期化
学生時代から社会に適応できず引きこもりが続いているケースが増えています。学校でのいじめなどがきっかけで周囲とのコミュニケーションを絶ってしまうと、そのまま人と関わるのが怖くなり外に出られないという人は少なくありません。
また学歴や就職に対するプレッシャーも原因の1つと考えられ、自信が持てないことで社会参加に消極的になってしまうケースも。
どうにか高校や大学を卒業しても上手く職場に適応できず、それが大きな挫折感に繋がってしまうこともあります。
仕事や人間関係の悩み
仕事や人間関係でのトラブルがストレスとなり、引きこもるきっかけになります。仕事の失敗や対人関係に悩み、「仕事に行きたくない」と考えることで心に大きな負担がかかるのです。
「新卒で入った職場になじめない」
「プロジェクトで失敗をしてしまった」
そういったトラブルがきっかけで立ち直れず、そのまま家に引きこもってしまう人は少なくありません。
精神疾患や病気・心理状態の影響
うつ病や不安障害、自律神経失調症などの心の病が原因で引きこもっているという方も珍しくありません。
症状が緩解しても再発することも多く、日常生活の中での社会参加を難しくさせています。この場合、定期的に適切なサポートや治療が必要なケースが多いです。
引きこもりから立ち直るためのきっかけ4選
では引きこもりから脱出するためにはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは引きこもりから立ち直るきっかけとなる
- 家族からの支援
- 医療機関の受診
- 相談窓口の活用
- 支援団体や施設の利用
の、4つの方法を紹介します。
①家族からの支援を求める
引きこもりを解決するには、家族の理解とサポートが必要不可欠です。
引きこもりの当事者と最も接する機会が多く、家族から理解を得られることで当人は安心感を得られます。また家族の付き添いがあれば外出をしやすくなったり、通院できるようになったりする可能性が高くなります。
そのため、第一歩としてまずは家族に相談し、社会復帰をするための環境を整えていきましょう。
②必要に応じて病院へ
心の症状がある場合、専門の病院でのカウンセリングや治療が必要です。
通院状況によっては自立支援制度が利用でき、費用の負担を軽減させることができます。自分の症状や状態をメモしておき、担当者に話せるようにしておくと良いでしょう。
③相談場所に問い合わせる
各自治体には引きこもり専門の相談窓口が設けられています。
専門家との相談を通して、適切な支援や情報を得ることが可能です。自治団体によっては無料で相談を受け付けている所もあります。
④支援団体や施設を使用する
多くの支援団体や施設が引きこもりの人々の社会復帰をサポートしています。サポート内容によっては長期の引きこもりや再発防止のためのプログラムが組まれているため、社会復帰をしたいと考える方にはうってつけです。
例えば専門のサポーターによる訪問支援や、在宅ワークから社会復帰を目指す支援団体などがあります。
引きこもり向けの支援施設とは
大人の引きこもりを支援するため、「引きこもり自立支援施設」というものが存在します。
社会的に見て引きこもりは親から独立できていない状態であるとされ、あまり良い印象を持たれません。しかし、わかっていても実際に行動に移すには勇気がいるでしょう。
そんな時は、支援してくれる施設を利用することをおすすめします。
引きこもりを更生する支援施設の役割
支援サービスの中には、寮に住み込みで社会復帰を目指す支援施設があります。環境を変えることは、引きこもりから脱却する大きなきっかけになるでしょう。
支援施設の多くは民間のNPO法人が運営しています。専門家のカウンセリングやプログラムが用意されているため、高い品質の自立支援を受けることができるのです。
また就職のサポートを行っているところも多くあり、社会復帰の実現可能性も高いといえるでしょう。
自立支援施設を利用するメリットとデメリット
施設に入所すればこれまでの環境と大きく変わるため、良くも悪くも大きな影響を受けることになります。そのためまずは、自分が寮生活に向いているのか考える必要があるのです。
ここからは自立支援施設を利用するメリットとデメリットについて解説します。
メリット1:新しい環境との出会い
施設は新しい環境を提供し、それまでの生活からのリセットされることが期待できます。引っ越しや環境が変わるだけで人の気持ちはリセットできるもので、家にいた時に感じていたストレスが解消するかもしれません。
これまでとは異なる場所で過ごすことで、新しい自分を見つけるきっかけにもなるでしょう。
メリット2:同じ境遇の仲間との交流
施設では同じ境遇の人々との交流が得られ、励まし合える環境が整っています。引きこもっていると、どうしても周囲から理解が得られず辛い思いをする方は少なくありません。
しかし施設内では利用者全員が似たような事情を抱え、同じ目的を持って入所してきています。社会復帰を目指すうえで、心強い存在となるでしょう。
デメリット1:生活リズムの強制
デメリットの1つとして、施設内では規則があり自由度が低いことが挙げられます。生活リズムの習慣化が求められるため、慣れるまでが大変です。
引きこもって生活をしていると昼夜逆転した生活を送る人が多く、「朝起きるのが辛い」と感じたり、上手く寝られず睡眠不足になったりすることもあるでしょう。
社会復帰をするうえで生活習慣を整えることは大切です。しかし早起きの習慣を身に着けるのは時間がかかり、負担に感じることは少なくありません。
デメリット2:ストレスの増加
新しい環境や人々との適応にはストレスがつきものです。また利用する方の中には「家族の勧めで入所させられた…」というケースも多く見られます。
自ら望まずに新しい環境に身を置き続けることは、常に気持ちに負担を感じてしまうでしょう。
その場合、逆に家から出たくないと思わせ社会復帰をあきらめるきっかけを作ることになります。そうならないためにもサポートを受けつつ、自分のペースを保つことが大切です。
引きこもりの支援を経験した方の体験談
ここでは引きこもりの支援を受けた方の体験談を2つご紹介します。どのようなサポートを受けどう過ごされたか、ぜひご参考ください。
27歳 女性 フリーランスデザイナー M.Mさんの体験談
①活用した就労支援の種類
地域若者サポートステーション(サポステ)を利用しました。うつ病が酷かった時に就労ができず悩んでおり、近所にサポステがあったので夫と面談に行き、利用登録をしました。
②就労支援を受けた際の具体的な流れ
支援内容は主に面談でした。自分の状況ややってみたいことを伝え、相談員の方が具体的にお仕事を紹介してくれました。
ただ、途中から、Mさんの場合はアルバイトではなくフリーランスの方が合っているのではないかとアドバイスを受け、結果的にはサポステの紹介では就職せず、現在はフリーランスでデザインの仕事をするようになりました。
良かった点は、サポステ内のプログラムでお仕事体験のようなものができたことです。仕事内容はサポステで使うチラシの整理や封入など簡単なものでしたが、「人の役に立てた」という経験が自信につながりました。
悪かった点は、私のように「スキルがあるが障害特性上通勤が難しい」という利用者にコミットする求人を紹介してもらえなかったことです。サポステが取り扱っている求人は基本的に事務や軽作業が多く、私には向いていませんでした。
41歳 男性 生活支援員 H.Uさんの体験談
①活用した就労支援の種類
就労支援の種類A型を利用していました。
②就労支援を受けた際の具体的な流れ
就職後に仕事ができるように仕事の能力をつけるトレーニングを提供をしてくれました。また就職先を一緒に探したり、面接の練習や就職後のアフターフォローまでしてくれた。
実際に体調や生活リズムが整っていない人でも、決まった時間に事業所に通う習慣をつけることで、だんだん生活リズムが整うようになってくるのがメリットだと感じます。
私の場合、最初は週2日くらいのペースで通い始め、訓練やスタッフのサポートを経て、最終的に週5日間通うことができるようになりました。
その中で上記のようなトレーニングを受けたおかげで、現在では一般企業で勤務をしています。
このように、支援を受けたことで生活習慣の改善や就職アドバイスを得られたことで、最終的に就職にすることができた方も多くいらっしゃいます。
支援を受けるか悩んでいる方は、今回紹介した体験談も参考にしてみて下さいね!
まとめ:大人の引きこもり脱却には支援が必須
大人の引きこもりは長期化すればするほど社会復帰が困難になります。またどうやって就職するかが大きな課題です。
そのためにも自分に合った支援を探し、サポートを受けながら準備を進めていくことが重要になるでしょう。
あせる気持ちはあると思いますが、一歩ずつ解決していくことが大切です。
引きこもりでお悩みの方は「らいさぽ」までお気軽にご相談ください。