はじめに
お子さんが不登校になると、多くの家庭では「どうして学校に行けないのか」「いつになったら行けるのか」という焦りや不安が募ります。そのうえ、家庭内で暴力的な行動――例えば、物を投げる、ドアを強く閉める、机を叩くといった行為――が加わると、親御さんの心は大きく揺さぶられます。
「学校に行けないだけでも大変なのに、家庭内でまで暴れるなんて……」
「私の育て方が悪いのではないか」
「もうどうしていいかわからない」
こうした悩みを抱えるご家庭は決して少なくありません。この記事では、不登校と「ものに当たる」行動がなぜ起きるのかを解説し、そこに隠された子どもの心理、そして家庭での具体的な対応策を紹介します。さらに、親御さん自身が消耗しすぎないための工夫や、利用できる支援先についても触れていきます。
1. なぜ不登校で「ものに当たる」行動が起こるのか?
不登校の子どもは、単に学校に行かないだけでなく、心の中で大きな葛藤を抱えています。
- 「本当は行きたいけれど怖い」
- 「みんなに遅れてしまっている」
- 「親に心配をかけている」
こうした気持ちをうまく言葉にできず、結果として「怒り」という形で外に出てしまうことがあります。その怒りの矛先が自分自身や親に直接向かわないとき、「ものに当たる」という行為として表れるのです。
心理的な背景
自分を責める気持ちを直視できないとき、周囲の物を壊すことで一時的に気持ちを発散しようとします。
親への訴え:
「もっとわかってほしい」「助けてほしい」という思いが、暴力的な行為として現れます。
感情のコントロールが未熟:
特に思春期の子どもは、自分の怒りや不安を適切に言葉で表現する力が育ちきっていません。そのため「行動」で示す傾向が強まります。
つまり、ものに当たる行動は「ただの反抗」ではなく、「心の悲鳴」であることが多いのです。
2. 「ものに当たる」行動から読み取れるSOS
ドアを乱暴に閉める、壁を叩く、リモコンを投げる――こうした行動は、家庭内では大きな不安を生みます。しかし、それらは同時に子どもからの「無言のメッセージ」でもあります。
行動が伝えている可能性のある気持ち
「誰にも理解されない」「この苦しさをわかってほしい」
注目を引きたい:
「暴れれば見てもらえる」という学習が働いている
行き場のないエネルギー:
学校に行けず、社会とのつながりが絶たれているため、エネルギーの出口がなくなっている
親から見ると「迷惑」「困った行為」としか思えないことも、実は「生きづらさのサイン」である可能性が高いのです。
3. 暴力行為への適切な対応
3-1. 暴力を「許さない」姿勢を明確に
まず大切なのは、暴力行為を曖昧にしないことです。「物に当たれば要求が通る」という経験を積ませてしまうと、暴力がエスカレートしやすくなります。
- 「暴力は受け入れない」という線引きを明確に伝える
- 暴れた直後には要求を叶えない
毅然とした態度を示すことは、子どもにとって「暴力では解決できない」と学ぶ大切な機会になります。
3-2. 「暴れなかったとき」をしっかり評価する
暴力を否定するだけでは不十分です。大事なのは、子どもが落ち着いて過ごせたとき、あるいは言葉で気持ちを伝えられたときに、しっかりと認め、褒めることです。
「今日は静かに過ごせて助かったよ」
「気持ちを言葉で言ってくれてうれしい」
こうした声掛けは、子どもに「暴力ではなくても認めてもらえる」と感じさせ、次の行動の改善につながります。
3-3. 引き金(トリガー)を避ける
子どもの暴力を引き起こす言葉や態度は、できるだけ避けましょう。
- 「なんで学校に行かないの?」
- 「いい加減にしなさい」
- 「将来どうするつもりなの?」
こうした言葉は子どもの心を追い詰め、怒りを誘発しやすいものです。特に落ち着いている時間に学校の話を持ち出すのは逆効果となる場合があります。
3-4. 親の安全を確保する
もし暴力がエスカレートして危険を感じた場合、無理に子どもを抑えようとせず、自分や家族の安全を最優先してください。場合によっては、警察や専門機関に連絡することも必要です。
4. 親ができる工夫と心構え
子どもの暴力に向き合うのは、精神的にも体力的にも大きな負担です。親が心身を守るための工夫も欠かせません。
子どもが落ち着ける空間を確保する
小さな成功体験を認める:
料理の手伝いや趣味など「できたこと」を積み重ねる
親自身のケア:
信頼できる人に話す、カウンセリングを受けるなど、孤独を避ける
暴力に毅然と対応するためには、親自身が心身ともに健康であることが前提となります。
5. 外部の支援を活用する
家庭だけでこの問題を解決するのは困難です。積極的に外部の力を借りましょう。
相談先の例
- スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー
- 自治体の教育相談センター
- 子ども家庭支援センター
- 民間の不登校支援団体や親の会
第三者が入ることで、子どもの暴力が落ち着くケースも珍しくありません。親子関係を修復するためにも、支援機関の活用は非常に有効です。
7.引きこもりの就労支援のスペシャリスト
らいさぽセンター本校は、静岡県御殿場市にある全寮制の支援施設で、ひきこもりや不登校、ニートの方々の就労支援に力を入れています。施設内での実務体験や資格取得サポートを通じて、自信を持って社会復帰できるよう支援。快適な生活環境と24時間体制のサポートで安心して取り組めます。
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6. まとめ
不登校の子どもが「ものに当たる」行動を取るのは、心の中の強いSOSの表れです。
- 暴力は毅然と拒否する
- 暴れなかったときの行動をしっかり評価する
- 引き金になる言葉を避ける
- 親自身の心身を守り、必要なら外部の力を借りる
こうした取り組みを少しずつ積み重ねることで、家庭に安心感が戻り、やがて子どもが社会に再びつながるきっかけとなります。
「一人で抱え込まなくてもいい」
「同じように悩んでいる親はたくさんいる」
そう感じてもらえることが、この記事の最大の目的です。