コラム

引きこもり大学生が引きこもりになる割合・原因|ずっと家にいる子どもに親ができる対応とは

「大学生で引きこもりになるひとは多い?」
「引きこもりになった子どもに親ができる対応は?」

引きこもりは、学校や仕事に行かず、自宅で一日の大半を過ごしている状態を指し、日本で社会的な課題とされています。

引きこもりの中には大学生も多く、自由度の高い大学生活の環境が影響し、引きこもっていることに周囲が気付きにくいため、親御さんのサポートが必要となってきます。

そこで今回は、大学生の引きこもりの割合や原因、引きこもりの子供にできる親の対応などについてご紹介していきます。

この記事を読むと、引きこもりに悩むご本人や親御さんの解決の第一歩への参考になるので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること

こんな人におすすめの記事です

  • 大学生で引きこもりになってしまいそうな状況な方
  • 引きこもりの大学生をお子さんに持つ方

大学生が引きこもりになる割合

人数(280万人中)割合
不登校2.0~8.1万人0.7~2.9%
アパシー(無気力)0.3~2.8万人0.1~1.0%
引きこもり0.3万人0.2~1.0%
参考:思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究 平成21年度 総括・分担研究報告書

上記は平成21年度に取られたデータで引きこもりやそれに近い状態の大学生の合計は、約1.0〜4.9%約2.9〜14.7万人となります。

コロナ禍で多くの大学がオンライン授業を取り入れましたが、ある調査によると現在でも7〜8割の大学が講義科目でオンデマンド型、もしくは同時双方向型のオンライン授業を実施していることがわかりました。(参考:一般社団法人日本私立大学連盟総合政策センタープロジェクト令和 6年(2024)3月

オンライン授業で自宅から授業を受ける大学生が増加し、人と会う機会が少なくなった結果、引きこもり状態に陥る学生もいます。

そのため、平成21年のデータ以上に現在では引きこもりの割合が上昇している可能性があると考えられるでしょう。

大学生が引きこもりや不登校になる原因とは

内閣府が2016年に引きこもりになった原因を調査したところ、「学校になじめない」「人間関係がうまくいかない」が多くありました。(参考:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「若者の生活に関する調査報告書」(2016年) )

この結果から、大学生が引きこもりや不登校になる原因は、以下のようなものが考えられます。

ここでは、詳しく解説していきます。

一人暮らしでの環境の変化

大学生が引きこもりになる原因の1つ目は、一人暮らしなどの環境の変化があります。

新しい友人関係や学業などの環境の変化によって、心理的な負担が大きくなり引きこもりのリスクが高まるからです。

一人暮らしは、家事や生活費の管理、慣れない場所での生活など一気に新しいことが増えるので心理的な負担が大きくなります。また、生活リズムや学習習慣を自ら管理しなければならないため、自己管理ができずに行動が制限される場合もあります。

一人暮らしや大学生活での環境の変化は、大学生が引きこもりになる大きな要因になるでしょう。

大学やバイト先での友人関係

大学生が引きこもりになる原因の2つ目は、大学の友人やバイト先での人間関係があります。

高校時代までとは異なり、さまざまなバックグラウンドを持つ人々との関わりが増えるので、対人関係に迷う場面も増えるからです。

大学は自由時間も多く、自ら行動しないと人間関係を築くのが難しい場合があります。また、アルバイト先では同じ学生でも年齢や役割が異なるため、話題が合わず仲良くなりづらい場合も。

こうした対人関係の悩みが積み重なると、外出への不安が大きくなり、引きこもりの状態に陥るケースが考えられます。

大学の友人やバイト先での人間関係は、大学生活での大きな負担となるので引きこもりになる要因となりやすいと言えるでしょう。

将来への不安

大学生が引きこもりになる原因の3つ目は、将来への不安があります。

大学の4年間は、自分の進路や職業を見つける大切な時期のため、将来への不確実性や競争の激しさに焦りを感じやすくなるためです。

専門学校に通う友人が自分より早く就職したり、SNSで他人の成功を目にしたりすると自分と比較して落ち込む場合があります。また、就職活動がうまくいかず、面接での失敗経験がトラウマとなり引きこもりの引き金になることもあるでしょう。

大学生は、高校生までと比べ自由がある分将来のキャリアに対する不安や経済的な問題を抱えやすく、引きこもりになる大きな要因となり得ます。

引きこもりや不登校になりやすい子どもの特徴

引きこもりはきっかけさえあれば誰でも起こりうると言えますが、その中でも不登校になりやすい子供の特徴があります。

一つずつ詳しく解説していきます。

生活リズムが整えられない

引きこもりになりやすい子供の特徴として、生活リズムが整えられないことが挙げられます。

大学生になると環境が大きく変化するため、生活リズムが乱れやすくなり自律的な生活を送るのが難しくなるのです。

たとえば一人暮らしを始めた学生が、家事や生活費の管理、バイトに追われて睡眠不足になり、授業への出席が滞ってしまうケースがあります。その結果、単位を落として進級できず引きこもり状態に陥ってしまうのです。

大学生になり環境の変化に適応するためには、生活リズムを整え自己管理を意識することが重要です。

完璧主義で頑張りすぎてしまう

引きこもりになりやすい人は、実は真面目で完璧主義的人が多い傾向にあります。

自分に厳しいため、プレッシャーに押しつぶされやすいのです。

完璧主義な人は、少しのミスや遅れで自己評価が下がり、自分にプレッシャーをかけ続けてしまうため、精神的な負担が大きくなります。

講義を一度欠席しただけで「もう試験を受けても意味がない」と思い込み、次第に学校に行けなくなってしまう場合もあるでしょう。

人目を気にしやすい

引きこもりや不登校の学生は、周囲の目を気にしすぎる傾向があります。

自己評価が周囲の評価に大きく依存しているため、自分が期待される基準に達していないと、劣等感や罪悪感を抱きやすくなるためです。

大学に行けていない自分に劣等感や罪悪感を抱いている学生は、他人に弱みを見せることができず、周囲に相談することができません。

引きこもりや不登校の予防には、完璧を求めすぎず柔軟な思考を持つと、ストレスを軽減しやすくなるでしょう。

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大学生の引きこもりが長引くとどうなる?

大学生と言えば、次は”就職”のイメージがほとんどですよね。

プレッシャーも掛かりやすく、引きこもり状態になってしまうと長引く傾向があり、様々なリスクを伴います。

留年・退学のリスクが高まる

大学生は、一度引きこもってしまうと、必然と留年や退学のリスクが高まります。

大学は義務教育ではないため、休んでも問題視されにくいのが現状です。

大学生は履修登録を怠ったり、授業に出席しなかったりすると進級が難しくなります。また、周囲に相談できず問題を抱え込んだり、必要な手続きの抜け落ちに気づかないまま引きこもってしまうケースも。

高校生までとは違い自己管理がしっかりできないと、大学生活でつまづいてしまう場合もあるでしょう。

引きこもりを避けるためには、自己管理ができるよう少しづつでも計画的に行動する習慣を身につけることが重要です。小さな成功体験を積み重ね、自己管理能力を徐々に高めていくと効果的でしょう。

周囲から気づかれにくく長期化しやすい

一人暮らしの大学生は引きこもりになっても周囲から気づかれにくく、早期解決どころか長引くこともあります。

一人暮らしは家から出る機会が減り、人と顔を合わせることが少なくなるため、どうしても孤立しやすいもの。

一人暮らしの学生が家にこもりがちになった場合、誰もその変化に気づきにくいため、引きこもりが進行しやすくなります。

大学の環境では周囲のサポートが不足しているため、気付いたころには心を閉ざし、引きこもりの早期解決が難しくなるのです。

そのまま無職になるリスクもある

そのまま引きこもりが長引くと、無論、無職になるリスクが高まります。

引きこもりがちになると就活の準備が遅れるため内定が得られず、経済的に苦しくなっていく学生もいます。

このような状況に陥るとますます自己評価が下がり、外出や社会活動への意欲を失ってしまいます。引きこもりが長期化すれば、社会復帰がますます困難になるケースも。

引きこもりが長期化しないためには、お子さんの気持ちの変化に早めに気づき、適切な対策を取ることが重要です。

大学生の引きこもりの息子・娘に親ができる対応は?

大学生の引きこもりのお子さんをお持ちの親御さんの中には、「どう接したらいいのかわからない」「最初の一手を間違えて壁を作られてしまった」など、対応にお悩みの方も多いのではないでしょうか。

ここでは、引きこもりのお子さんに親御さんができる対応方法を解説します。

感情的にならず冷静に対応する

引きこもり状態のお子さんには、感情的にならずに冷静に対応することが重要です。

感情的に怒ったり、理由をしつこく問いただしたりするのは、子どもに大きなプレッシャーを与えてしまいます

「どうして外に出ないのか?」と責めるように問い詰めると、子どもは追い詰められた気持ちになり、ますます閉じこもってしまうでしょう。

一方で「まずは今の気持ちを大切にして少しずつできることを考えよう」といった声かけをすると、子どもは少しずつ前向きな行動を取れるきっかけが作れるかもしれません。

お子さんが引きこもり状態になった場合、冷静で優しい対応が大切です。罪悪感を感じさせるような声かけは避け、今の現状に理解を示す対応を心がけましょう

現在の健康と問題に焦点を当てたサポートをする

引きこもりのお子さんには、将来の不安よりも現在の健康の問題に焦点を当てることが重要です。

将来の不安に焦点を当てると、プレッシャーを感じてしまい、かえって状況が悪化する可能性があるためです。

親が「将来どうするのか」を気にするのではなく、まずは健康や現在の問題にしっかり向き合い少しずつ前を向いていけるようにサポートしましょう。

まずは日常生活の改善や心身のケアを優先し、お子さんの安心感を高め回復に向けた土台作りをしていきます。

健康や現在の問題にしっかり向き合い、サポートしながら家族全員で少しずつ前を向いていきましょう。

新たなコミュニティへの参加を提案する

引きこもりのお子さんに、新たなコミュニティへの参加を提案してみるのもいいでしょう。

新たなコミュニティに参加することで視野が広がる可能性もあります。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 趣味のサークルや習い事
  • 地域のボランティア活動
  • オンラインコミュニティ
  • カルチャースクールや市民講座
  • 図書館やカフェのイベント

大学とは違うコミュニティを知ると、「ここにも自分の居場所がある」と視野を広げるきっかけになるでしょう。少しずつ外とのつながりを取り戻し、引きこもりからの回復をサポートできます。

引きこもりの改善には、新たなコミュニティを知り視野を広げると一歩踏み出せる可能性が高まります

家族として支え続ける

お子さんが引きこもりから脱するためには、家族の支えが欠かせません。

家族の支えは子供にとって大きな安心感になり、少しずつ前向きな姿勢を取り戻せる可能性があります。

一人暮らしを始め遠くに住んでいるお子さんの場合でもこまめに連絡を取り、気にかけている人がいることをわかってもらいましょう。

子どもはプレッシャーを感じることなく少しずつ外の世界に向かっていけるようになります。親の支える姿勢が引きこもりからの脱出を後押しするのです。

子どもが引きこもりから脱するには、まず家族が焦らずに一歩一歩進んでいく姿勢が大切です。

大学のカウンセラーや専門の病院に相談する

引きこもりの解決には、大学のカウンセラーや専門の病院に相談することが重要です。

家族だけで抱え込まず、専門的な知識の活用が効果的に作用する可能性があります。

大学のカウンセラーと連携してカウンセリングを受けると、子どもの心理状態を詳しく理解し、具体的な改善策を立てることができます。また、専門の病院での治療も必要なサポートを迅速に得られる可能性があります。

引きこもりの問題解決には、専門家の力を借りながら家族と一緒に取り組むといいでしょう。

引きこもり支援機関に相談する

引きこもりの解決には、引きこもりの支援機関への相談も考えるといいでしょう。

専門的かつ多角的なサポートが受けられるので、本人と家族の状況を改善する大きな一歩となります。

引きこもりの支援機関は、以下のようなものがあります。

厚生労働省引きこもり支援センター・ひきこもりに特化した相談窓口・都道府県、指定都市に設置している
「ひきこもり地域支援センター」の設置状況リスト
地域若者サポートステーション(サポステ)・15~49歳の若者を対象にした自立支援機関・コミュニケーション講座、パソコンスキル習得、就活セミナーなどを提供している
NPO法人が運営している支援施設・NPO法人が運営・柔軟で個別に対応でき、地域ネットワークを活かした支援が行われる

引きこもり支援機関への相談は、引きこもりの根本的な解決に向けた第一歩となります。

各機関が提供するさまざまなプログラムやサービスを活用し、必要なサポートを受けてみるといいでしょう。

引きこもりの大学生に関するよくある質問

最後に、引きこもりの大学生に関するよくある質問について回答していきます。

大学生の引きこもりは親のせいですか?

大学生の引きこもりは親のせいではありません

前述したのデータにもある通り、引きこもりになるには様々な要素があります。

学校生活や人間関係など、本人が抱える問題が原因となって引きこもりになるケースも多くあります。

また、大学生の引きこもりは学業のプレッシャーや将来への不安、周囲との比較からくる劣等感が絡む場合も少なくありません。

親がどんなにサポートしても、外的な要因や本人の内面的な葛藤が影響するため、引きこもりは必ずしも親の育て方や家庭環境だけが原因ではないのです。

引きこもりの問題を親の責任と捉えすぎず、専門機関や大学のカウンセリングサービスなどを活用して、共に解決策を見つけていきましょう

夏休み中ずっと家にいる子どもは引きこもりになりますか?

夏休み中ずっと家にいるお子さんが必ずしも引きこもりになるわけではありません。

しかし、生活リズムや環境に注意が必要です。

生活リズムが崩れると登校に支障が出やすくなるためです。

家にいながら趣味に没頭している子どもの場合、心が満たされれば自ら外出する期待ができます。

一方、ゲームやスマホに長時間依存している場合は、昼夜逆転し外出拒否につながる可能性があります。

お子さんの様子を気にかけ、時々声をかけて外に出る機会を作るようにするといいでしょう。

引きこもりで就活をしなかった大学生でも就職はできますか?

引きこもりで就活をしなかった大学生でも就職は可能です。

未経験者でも採用している企業が多く存在しているからです。

例えば以下のような手段があります。

  • 未経験歓迎の企業を狙う
  • 職業訓練や資格取得でスキルを身につける
  • フリーターやインターンからスタート
  • 自己PRで前向きな姿勢を伝える

学歴や経験に関係なく、人柄やポテンシャルを重視する企業が多くあります。

ハローワークや民間スクールで資格やスキルを習得すれば、より就職に有利になるでしょう。

フリーターやインターンで経験を積むと、正社員登用や転職を目指すステップアップが可能です。

引きこもり期間に学んだことや成長エピソードをアピールし、企業からの評価を上げましょう。

大学を中退すると人生終了ですか?

大学を中退しても人生終了ではありません。

大学を中退しても就職は可能であり、正社員として働きながら成功するチャンスは十分にあるからです。

大学を中退したからといって悲観的になるのではなく、時間を活用して資格を取得したり、ハローワークの職業訓練を受けたりするといいでしょう。

また、アルバイトをしてそのまま正社員を目指せる企業もあります。

努力次第で大卒者よりも早く昇進する場合もあるので、大学を中退したからといって悲観する必要はありません。

まとめ

大学生の引きこもりは、さまざまな要素が混ざって引き起こります。

引きこもり状態に気づいたら、早期に対応するのが大切です。

無理に大学復帰を目指さず、柔軟に別の選択肢を考え、子どもが自分で進むべき道を見つけられるようサポートしていきましょう。

「らいさぽ」では、その第一歩の支援や本人・ご家族の方からのご相談をいつでもお受けしております。引きこもりでお悩みの方は「らいさぽ」までご相談ください。

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