「気づいたら引きこもって20年以上経っていた…」
「このまま親が死んでしまったらどうなるの?」
このような悩みを持った40代以上の引きこもりの方も多いのではないでしょうか?
引きこもりが社会問題として取り沙汰される昨今、80代の親が50代の引きこもりの子を養う「8050(はちまる・ごうまる)問題」が注目されています。
年老いていく親の死に不安を抱えて過ごすだけでなく、親子ともに生活困難な状況に陥り、絶望的な末路を辿る家族も少なくありません。
最悪のケースを回避するためにはどうすればいいのか?
この記事を参考に、少しでも希望の光が見えたなら幸いです。
\記事のポイント/
- 引きこもりのまま親が死んだら
▶︎▶︎生活基盤を失う・遺産相続等の法的手続きが必要になる・孤独感や不安感が増す場合も。 - 引きこもりが辿る絶望的な末路とは
▶︎▶︎年金だけで生活できない・生活保護が受給できない・就職できない・ホームレスになる・最悪の場合、孤独死や自殺のケースも… - 絶望的な末路を阻止するには
▶︎▶︎社会復帰に向けた一歩を踏み出す・家族で将来について話し合う・精神科の受診を検討する・引きこもり支援団体のサポートを検討する
引きこもりのまま親が死んだら
そもそも、引きこもりのまま親が死んでしまった場合どうなってしまうのか、リアルに考えたことはありますか?
漠然と不安を抱えているだけでは、解決策を見出すことは難しいといえるでしょう。
ここからは、親が死んだ後に待つ3つの現実について、それぞれ詳しく解説します。
生活基盤を失い経済的な自立が求められる
まず始めに生活基盤を失ってしまうことは明白です。
働けないあなたの代わりに、親御さんは毎月、光熱費や家賃・生活費・食費のすべてを払っています。
食材を購入するために、スーパーに買い出しに行くのも親御さんがやってくれているでしょう。
親が死んでしまったら、当たり前に生活できている今の環境がすべてなくなるということ。
生活費を稼ぐために働くことが必要になり、食事を作ったり掃除・洗濯をこなす必要も出てきます。
部屋に引きこもっているだけでも生活できる今の環境は、すべてなくなってしまうのです。
遺産相続など法的な手続きの問題が発生する
「親が死んでも遺産があるから大丈夫」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、遺産を相続するにはさまざまな法的な手続きがあり、対面での処理が必要なものも多く、外出が難しい引きこもりにとって高いハードルとなります。
相続手続きを期間内に完了できなければ、家や土地などの財産が差押になることもあり、親が亡くなった際に懸念される問題の1つです。
その他にも、法的に必要な手続きは多岐に渡ります。
- 国民健康保険以外の健康保険資格喪失届:5日以内
- 死亡届:7日以内
- 火葬・埋葬許可証の申請:7日以内
- 世帯主変更届:14日以内
- 年金受給停止の手続き:10〜14日以内
- ライフライン等の名義変更・解約
- 遺言書の有無の確認
兄弟や親戚など頼れる身内がいなければ、これらすべてを一人でおこなうことになり、かなり負担が大きくなることが考えられます。
孤独感や不安感が増して生きる意味を見失う
ずっと自宅にいる引きこもりにとって、親は唯一の存在相手。
その親がいなくなるということは、「世界には自分一人なんだ」という孤独感を助長するキッカケになり、精神が不安定になることが考えられます。
どれだけ親との関係が悪くても、いるといないとでは全く世界が違うことを実感するはずです。
そして、ずっとたった一人で過ごしていると生きることに対する不安が大きくなり、生きる意味を見失う人も出てきます。
最悪の場合、自殺を選んでしまう人がいることも事実です。
専門家があなたの家族に寄り添います。
「部屋から出てこない」「会話が成り立たない」そんな日々に疲れていませんか?
まだ諦めるには早すぎます。
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まずは、引きこもり支援の専門家にあなたの話を聞かせてください。
引きこもりの絶望的な末路とは
「親が死んでも資産があるからなんとかなる」と楽観的に考えて、現実逃避している人もいるかもしれませんね。
しかし、現実はそんなに甘くありません。
現実から目を背け続けていると、取り返しのつかない事態に陥る可能性もあります。
親が死んでも引きこもり続けるとどうなるのか、それぞれ詳しく解説します。
年金だけでは生活できない
若いうちから長年引きこもりを続けている場合、自分の年金がどうなっているか把握できていない人も多いのではないでしょうか?
国民年金の加入義務は20歳から。
ニートや引きこもりなどの就労状況は関係なく、20〜60歳まで支払い義務が発生します。
そして、期間中しっかり納付していた場合の受給額は、月額およそ65,000円。(2024年12月時点)
世帯の経済状況などによって免除制度を利用していれば、受給額はこの金額より低くなります。
つまり、あなたが60歳を超えていて年金を受給できたとしても、親が死んだら月額65,000円以下で生活しなければならない可能性があるということです。
もちろん、親の死亡届を出さずに親の年金を不正受給することは不正行為にあたります。
3年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処されます。
生活保護が受給できない
「親が死んだら生活保護を受けよう」と安易に考えている人もいるかもしれません。
しかし、生活保護を受給するには、以下の条件に当てはまる必要があります。
- 世帯収入が国の定める最低生活費の13万円以下であること
- なんらかの理由で働けない状態であること
- 親族などの援助が受けられない状態であること
- 不動産・自動車・預貯金など活用できる資産がないこと
- 年金や保険など他の制度を活用しても生活費を得られないこと
- 借金などの負債がないこと
たとえ引きこもり状態が長く続いていたとしても、これらの条件すべてに当てはまらなければ、生活保護の受給は難しいといえるでしょう。
また、心身ともに健康で働ける状態にあるにも関わらず、「働きたくない」という理由で引きこもっている場合も、生活保護の条件を満たさないといえます。
就職ができない
親の死をキッカケに「働こう!」と一念発起する人もいるでしょう。
しかし、引きこもりが長期化すると空白期間が長くなり、採用してくれる企業が限られてきます。
さらに、国が運営している就職支援機関の多くは年齢制限を設けているため、40代を超えてしまうと就職を探す窓口すらも少なくなることが現状です。
- わかものハローワーク:2020年より34歳以下に変更
- 地域若者サポートステーション:15〜49歳まで
一般的なハローワークであれば年齢制限なく利用可能です。
しかし、35歳以上の就職支援は再就職を対象としていることが多く、就労経験がない・長い空白期間のある引きこもりにとって、簡単な道ではありません。
親のサポートもなく就職活動をするには、過酷な環境が待っているといえるでしょう。
ホームレスになる
親以外に頼れる身内はいますか?
今住んでいるアパートやマンションが賃貸だった場合、親が死んだら毎月の家賃の支払いが発生します。
「持ち家だから大丈夫」というわけでもなく、持ち家を相続すると年間10〜15万円程度の固定資産税の支払いが必要です。
賃貸でも持ち家でも、住む場所を確保するには一定の費用が必要だということは、覚えておく必要があるでしょう。
支払うことができなければ住居を失い、ホームレスになる可能性が出てきてしまいます。
孤独死や自殺といった最悪のケースも、、
先述したように、引きこもりにとって「親」は唯一のコミュニケーション相手。
関係が良かろうが悪かろうが、他者との繋がりが持てる唯一の相手です。
そんな親が死んでしまったら、コミュニケーションが一気になくなり、社会との繋がりも消えてしまいます。
人は社会と繋がりがまったく無くなると、生きる意味を見失います。
- 自分は何もできない
- 社会から必要とされていない
- 誰かに認められたくても相手がいない
変化と刺激のない毎日を過ごす中でこのような気持ちが蓄積し、自己嫌悪に陥る人も少なくありません。
実際に、2020年にNHKがおこなった調査では1年間に亡くなった引きこもりの約3割が「自殺」を選んでしまっていることもわかっています。
引きこもりが絶望的な末路を阻止する方法
ここまで、引きこもりのまま親が死んだらどうなるのか、必要になる手続きや最悪の末路を解説してきました。
絶望的な未来を少しでも回避したいなら、できるところから少しずつ行動を起こすほかありません。
ここからは、引きこもりが絶望的な末路を阻止する4つの方法について、それぞれ詳しく解説します。
「やれそうだな」と思うものから取り入れてみてくださいね。
社会復帰に向けた小さな一歩を踏み出す
引きこもりが社会復帰は難しいといわれる理由の1つに「生活リズムの乱れ」が挙げられます。
長期間引きこもり生活が続くと昼夜逆転してしまう人も多く、一般的な社会活動が負担になってしまうためです。
そのため、社会復帰を目指す上で生活リズムを整える必要があります。
- 朝日を浴びる
- 散歩する
- 3食きちんと食べる
このような行動を心がけて生活リズムを取り戻すことは、社会復帰に向けた小さな一歩になるでしょう。
また、働けそうな仕事を探してみるだけでもおすすめです。
できそうなことを少しずつ、行動に移していきましょう。
家族で将来について話し合う
親が元気で健在なうちに、将来について話し合っておくことがとても重要です。
- 年金の支払いはどうなっているのか
- 家賃や固定資産税はいくらなのか
- 資産はいくらあるのか
このような経済状況については、親がいなくなった時のことを想定して、事前に把握しておく必要があります。
また、親が亡くなった後、経済的に困難な状況に陥ることが想定されるのであれば、生前に世帯を分けて生活保護を受給しておくのも1つの手段です。
将来について考えることを避け続けていたら、最終的に苦しむのは引きこもりである自分自身の他ありません。
早いうちに、一度家族を交えて話し合ってみましょう。
精神科の受診を検討してみる
精神科の受診に抵抗がある人も多いでしょう。
しかし、厚生労働省は引きこもりという状態は、長期間にわたって生活の選択肢が狭められた精神的健康の問題と捉えていて、精神保健福祉の対象としています。(引用:厚生労働省「ひきこもりの概念」)
通院して病名がつけば、利用できる福祉制度が広がります。
適切な治療も受けられるため、社会復帰も近づいてくるはずです。
さらに、病名がつくことで就労が困難な状態である証明となるケースもあり、生活保護の申請が通りやすくなるケースもあります。
「精神科に抵抗がある」「病気と言われたくない」という気持ちもわかりますが、最悪なケースを避けるための1つの手段として、早めに精神科を受診することがおすすめです。
引きこもり支援団体サポートも前向きに検討しよう
引きこもりが長期化していると、親が引きこもり支援を頼ることがほとんどですが、引きこもり当事者がそれを拒むことも少なくありません。
しかし、何十年も引きこもり続けて40代を超えてくると、自分や家族の力だけで自立する可能性は極めて低くなります。
「親が死んだらどうなるんだ」という不安を少しでも抱えているなら、引きこもり支援団体のサポートを前向きに捉えて活用することが、絶望的な末路を阻止する1つの方法となるでしょう。
引きこもり支援には公的なものや民間なものなど多種多様なサポートがあり、引きこもり段階や状態に合わせた支援が選べます。
- 地域若者サポートステーション
- 引きこもり地域支援センター
- 保健機関
- 自治体の担当窓口 など
長引く引きこもりで将来に不安を感じているのであれば、引きこもり・ニート・不登校児のための自立支援「らいさぽセンター」への相談も検討してみてください。
まとめ
今回は、引きこもりが辿る絶望的な末路と、それを阻止する方法について詳しく解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
内容を簡単におさらいします。
- 引きこもりのまま親が死んだら
▶︎▶︎生活基盤を失う・遺産相続等の法的手続きが必要になる・孤独感や不安感が増す場合も。 - 引きこもりが辿る絶望的な末路とは
▶︎▶︎年金だけで生活できない・生活保護が受給できない・就職できない・ホームレスになる・最悪の場合、孤独死や自殺のケースも… - 絶望的な末路を阻止するには
▶︎▶︎社会復帰に向けた一歩を踏み出す・家族で将来について話し合う・精神科の受診を検討する・引きこもり支援団体のサポートを検討する
親はいつまでもあなたの側にいられるわけではありません。
また、生活保護が必ず受給できるという保証もないため、今動かなければ自分で自分を窮地に追いやってしまいます。
何よりも大切なものは、引きこもり当事者が「現状を変えたい」という強い気持ちを持つこと。
絶望的な末路を阻止できるのは、「自分以外の誰でもない」ということを覚えておいてくださいね。